弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第233回
借地権を相続から外す

前回の読者からの質問に対する
僕の考えをお話します。 
まず、前回説明したとおり、
借地権は財産権なので、
相続したら、土地を地主に返してしまうのは、
勿体ないと思います。
でも、それが希望だというのであれば、
仕方がありません。

まず、借地契約を地主と交渉して、
会社の分と個人の分に分けてください。
そして、個人の借地契約を
お父さんが亡くなったら、
借地契約は終了する
という契約内容にしてください。
そうすれば、お父さんが亡くなった時点で、
借地権は消滅しますから、
相続財産に含まれないはずです。
というのが、弁護士の考え方です。
税法上、このとおりになるのかについては、
税理士さんに相談してください。

しかし、せっかくの借地権を
なくしてしまうのは、
あまりにも勿体ないと思います。
自宅を壊して更地にするにもお金がかかります。
そこで、借地契約を
会社と個人に分けて、
個人の借地権は相続税を払って相続して、
その後、建物といっしょに
借地権を売却してみたらいかがでしょうか?

地主に返してしまうだけでは、
自宅の解体費用分がマイナスですが、
売却すれば、
相続税と譲渡所得税を支払っても
プラスになるのではないでしょうか?

不動産屋さんに借地権付建物を売ったら
いくらになるかを聞いて、

税理士さんに、借地権を相続して売却した場合には、
相続税と譲渡所得税が
いくらになるかを計算してもらって、

借地権付建物として売却するのがよいか
検討されたらよいと思います。

なお、借地権付建物を売却するときには、
不動産業者への仲介手数料と、
地主に通常1割の譲渡承諾料がかかります
(地主が譲渡承諾料は
不要と言ってくれれば払わなくて済みます)。
これも計算に入れてください。

どちらにしても、地主と交渉して、
借地契約を会社と個人の
2つの契約にしておいた方が
後で対処しやすいと思います。


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2007年2月15日(木)

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