弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第281回
大臣は辞めたけれど

以前、参院選前に、
政治家は法的責任を負わない場合でも
政治的責任を負わなければならないという話をしました。

みなさん、
大臣と任命権者の総理大臣が
自分で政治的責任を取らないなら、
政治的責任を取らせるという考えで
投票をした方が多かったようです。

もちろん、総理大臣が所属する政党の議員が落選し、
選挙で大敗するというのも、
総理大臣に政治的責任を取らせるということになります。

その結果を受けて、問題の大臣は辞任をしました。

しかし、元々の問題は、
大臣としての行為ではなく、
国会議員として提出した政治資金収支報告書の内容に
疑惑がかけられていたはずです。

したがって、
大臣を辞めても、国会議員なのですから、
国会議員として、
政治資金収支報告書の内容を国民に説明するというのが、
国会議員としての政治的責任の取り方なのではないでしょうか?

説明しないということは、
国民に説明できないような
ひどい内容なのだと国民に疑われても、
仕方がありません。

裁判でも、
当事者ならば当然知っていることについて、証言を拒めば、
裁判官に、不利な心証を与えて、
裁判ではマイナスとなります。

国会議員としての行為について、
国民に対する説明義務を果たせないのであれば、
大臣ではなく、国会議員を辞めるというのが
筋ということとなります。

大臣を辞めたことによって、
政治的責任を十分に果たしたかどうかは、
問題の大臣が次回衆院選で、
大臣の選挙区の方々が判断することとなります。
残念ながら、制度上、
大臣の選挙区の方でないと、
政治的責任を取らせることはできません。





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2007年8月9日(木)

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