弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第319回
従業員との関係を切るのも難しい

前回
土地や建物の借主との契約関係を切るのは難しい
というお話をしました。
今回は、従業員との関係です。

従業員も、
他の従業員と協調性がない、軽微なミスが多い、
口の利き方がなっていない、
忙しいときに突然休むなど、
雇い主からすれば、
クビにしたいと思うことも多いものです。

しかし、従業員は、
労働基準法という法律で保護されています。
従業員は、給料を得て生活をしていますから、
簡単に、クビにできるとすると、
従業員の生活が成り立たなくなってしまうからです。
ただ、労働基準法上は、
1ヶ月前に解雇の予告をするか、
1か月分の給料を前払いすれば、
解雇することができると書いてあることから、
法律に詳しくない経営者は、
気に入らなければ従業員をクビにしてしまうことも多いようです。
しかし、先ほど説明したとおり、
労働基準法で従業員は保護されていますから、
簡単にクビにできません。

解雇に正当な理由がなければ、
解雇権の濫用として、
解雇は無効となってしまいます。
これを「解雇権濫用の法理」と言います。
解雇をして、
裁判で解雇について1年も争って、
後から解雇は無効だとされると、
解雇した以降の1年分の給料を
働いていない従業員に払わなければならない
ということもあります。

従業員がミスをしたとしても、
何度も注意して、教育して、
それでも直らないというような場合にしか解雇はできません。
しかも、そのミスが軽微だとすると、なかなか解雇ができません。
従業員が、どれくらいの能力を持っていて、
どのような性格なのか、
職場での協調性はあるかなど、
実際仕事をやってもらわないとわかりません。

この点について、
雇い主の対策としては、
試用期間というものがありますが、
試用期間については、また機会があったらお話します。
今回で今年はお終いです。
みなさん、よいお年をお迎えください。


 当事務所の業務は、年内は28日までです。
 12月29日から1月6日まではお休みをいただきます。
 来年は1月7日からとなります。





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2007年12月27日(木)

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