弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第366回
出資したのか貸したのか

以前にも出資金と貸付金の違いについて、
お話ししたことがあると思います。
HiQをごらんのみなさんは、
もうわかっていると思いますが、
最近同じような相談を続けて受けたので、
また説明します。

貸付金は、貸したお金ですから、
必ず相手に渡した額を返してもらえるお金です。
利息を約束すれば、利息ももらえます。
利息について約束していなくても、
利息を取らないことを決めていなければ
少なくとも年5%の利息を請求することができます。

これに対して、
出資金は、一般に事業の元となるお金です。
事業が儲かれば利益の配当という形で
分配してもらうことができます。
しかし、事業が儲からずに赤字になれば
利益の分配を受け取ることができません。

また出資金は事業のために出したお金ですから、
渡したお金は事業を終了して清算しないと戻ってきません。
しかも清算したときに、
渡したお金以上の金額が残っていればお金は戻ってきますが、
渡したお金より減っていれば
その金額で我慢しなければなりません。
清算した結果お金が全く残っていなければ、
全く返してもらえません。

逆に事業で負債が残った場合には、
共同事業者として、
負債を支払わなければならないケースもあります。

このように出資金は貸付金に比べて、
お金を出した人にとって不利な場合が多いです。
共同事業を始めるために出資したけれども
仲が悪くなってから出資金を全額返してくれというトラブルが
結構多いのですが、説明したとおり、
出資金は全額を返してもらえるとは限らないのです。

また、渡したお金が事業のために貸したのか、
出資したのかもよくトラブルになりますが、
何の書類もないとどちらなのかは
裁判をしてみなければわからないということとなります。

他人にお金を貸すときでも、
出資するときでも、
お金を渡すときには、
そのお金がどういうお金で、
どういうときに返してもらえるのかを
書類に書いておきましょう。





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2008年6月17日(火)

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