弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第389回
連帯保証も相続される

借金が相続の対象となり、
亡くなった方が借金をしていたときには、
その借金も相続されることは、みなさんご存知だと思います。

相続するのは、
自宅や預金などプラスの財産だけではないのです。

借金を相続しないためには、
「相続放棄」という手段がありますが、
「相続放棄」をしてしまうと、
自宅などのプラスの資産も相続できません。

さて、亡くなった方が
他人の借金の連帯保証人になっていたらどうでしょうか?
連帯保証人が亡くなってしまったのだから、
それでおしまいになると考えている方もいるかもしれません。

しかし、残念ながら、
連帯保証債務も、借金と同じで相続されるのです。
その割合は、法定相続分どおりとなります。

例えば、
亡くなった方が
知り合いの借金1000万円の保証人になっていた場合で、
妻と子供2人が相続すると、
連帯保証債務も、2:1:1で相続され、
それぞれ1000万円、500万円、500万円の
連帯保証債務を負うこととなります。

連帯保証債務を免れるには、
相続放棄をする他ありませんが、
相続放棄をすれば、
自宅や預金なども相続することはできません。

連帯保証人は、
借り入れをした人が全額返済すれば
借金を返済しなくて済みますので、
仮に多額の連帯保証債務があったとしても、
相続放棄をするかどうかは微妙です。

また、自宅などを相続してしまってから、
多額の連帯保証がわかった場合には、
原則として放棄できませんから、
多額の連帯保証をしている場合には、
自分が亡くなる前に
家族に自分は誰のいくらの借金について
連帯保証をしているかについて、説明しておく方がよいでしょう。
 
そうでないと、
後から連帯保証債務について請求を受けて
大変なことになるのは残された家族です。

まあ、家族に内緒で知り合いの連帯保証人になってしまった場合、
家族に話すと叱られるということも、あるでしょうが、
事前に説明しておかないと後で家族が困ることになるので、
そこは叱られても説明しておきましょう。


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2008年9月11日(木)

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