弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第405回
倒産は突然されるものです

保育園や留学斡旋会社、自動車学校などが倒産し、
何の前触れもなく突然倒産されては困る
というニュースが相次いで流されています。

利用者にとっては、
突然その日になって倒産を知らされたら、
本当に困ると思います。

しかし、会社の倒産は、そのほとんどは突然するものです。
ここで言う倒産は、代表的な破産を指すことにします。

会社が倒産するのはなぜかというと、
支払いに当てる資金が足りなくなってしまったからです。

そこで、会社を閉鎖して、お金の動きを止めて、
換金できる財産はお金に変えて、
債権者に平等に分配する手続が倒産の手続となります。

倒産の手続は、弁護士が行うことが多いです。
弁護士は、相談を受け、倒産が決まると、
できるだけ早く会社を閉鎖します。
だから、突然、会社の営業が止まるということになります。

なぜかというと、弁護士に、
会社が倒産の依頼をした時点で、
会社は、債権者全員に債権額全額を支払えないことは明らかです。

それにもかかわらず、
会社が営業を続けてしまうと、
代金が支払えないのに仕入れをしてしまうことになり、
給料が支払えないのに
従業員に仕事をさせることになってしまいます。

ひどい場合は、今後サービスを継続できなくなるのに
代金を前払いで受けてしまうということになります。

弁護士が、倒産の依頼を受けてから、
会社全体の状況を把握し、会社を閉鎖するまでに、
時間がある程度かかりますから、
ある程度のタイムラグは発生してしまいますが、
そのライムラグが長ければ長いだけ被害者が増えてしまうのです。

また、債権者には、サービスの利用者だけでなく、
銀行や仕入業者や従業員などがいます。
これらの債権者を平等に扱うためには、
サービスの利用者だけ優遇して
サービスを継続するわけにはいかないのです。

そこで、倒産は、突然なされるものなのです。
まあ、そうは言っても、突然倒産されれば、
怒りたくはなりますよね。


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2008年11月6日(木)

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