弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第422回
派遣はリスクが高いから

前回、内定取消しの話をしましたが、
世の中、不況の象徴として
派遣切りのニュースがテレビや新聞で、
毎日のように取り上げられています。

派遣社員は、もともと
暫定的な雇用制度という位置づけで始まったことから、
短期間雇用を前提とされています。

したがって、派遣社員は、
短期間で仕事を失ってしまう可能性があるわけです。 

一般的に、1つの仕事を失ったら、
すぐに次の仕事が見つかるというわけにはいかないでしょうから、
派遣社員として働く場合、
収入のない期間ができてしまう可能性が高いです。

とすれば、派遣社員が正社員と同じ仕事をしている場合、
正社員よりも一定期間後に収入を失うリスクが高いわけですから、
同じ給料ではなく、
正社員よりも高い給料をもらう必要があるのです。

そうでなければ、失職したときの生活に備えられません。

今回、派遣切りにあった人が
所持金がないので生活が大変だ
ということだけは報道されているのですが、
安い給料で働いていたから貯蓄がないということなのか、
それなりの給料をもらって働いていたのに
貯蓄がないということなのかについて報道されていません。

おそらくたくさんの派遣切りにあった人が、
派遣切りにあった途端に
生活が成り立たなくなるということであれば、
貯蓄ができないほど給料が安かった
ということなのかもしれません。

そうだとすると、企業が支払う金額が少ないのか、
それとも派遣会社が取りすぎなのかということになりますが、
企業は、高い金額を支払うなら
外国に行って外国人を雇った方がよいとなるかもしれません。

派遣会社も、派遣社員となる人を集めて、
派遣先となる企業に営業をして、仕事を取ってくるので、
それなりにコストもかかっています。

この辺の数値的な資料を前提に議論しないと、
派遣のどこが問題で、
どこを直したらよいかが見えて来ないような気がします。


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2009年1月8日(木)

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