弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第468回
離婚の慰謝料も相手に原因がないと

慰謝料と聞いて、
みなさんが、一番先に思いつくのは離婚の慰謝料でしょう。

離婚の慰謝料については、離婚するときは、
男性が女性に対し、
必ず慰謝料を支払うと思っている方も多いようです。
しかし、これは誤りです。

離婚の慰謝料は、離婚の原因に責任がある方が、
責任のない方に支払うこととなります。

例えば、夫が浮気をしたことが原因で離婚するのであれば、
妻は夫に対し、慰謝料を請求することができます。

逆に、妻が浮気をしたことが原因で離婚するのであれば、
夫が妻に対し、慰謝料を請求することができるのです。

こういう典型的なケースであれば、
みなさんも、あまり間違えないとは思います。

よくある勘違いされているケースとしては、
性格の不一致で、離婚しようとするときに、
妻から性格が合わないから離婚しようと言い出しておきながら、
妻から夫に慰謝料を請求する場合があります。

そもそも、夫と妻の性格が
同じということはない方が普通ですから、
単なる性格の不一致では、
妻から離婚を求めて裁判をやっても離婚は認められない
と思われます。

裁判をしても離婚ができないケースで、
妻が離婚を求めた場合、法律上は、夫は離婚を拒否できます。

夫は離婚を拒否できるくらいなのですから、
離婚に応じたからと言って、慰謝料を支払う義務などないのです。

むしろ、夫は、法律的に離婚を拒否できる状態なのに、
妻の離婚の申し出に応じてあげるわけですから、
夫が妻に対し、慰謝料を請求できるくらいです。

法律的には、離婚を拒否できるけど、
離婚について慰謝料を支払ってもらえれば、
離婚に応じてもよいということなのです。

浮気など明確な離婚事由がない場合、
こちらから離婚すると言わない方がよい
ということを聞いたことがあるかもしれませんが、
それは、この先に言った方に
慰謝料の支払義務が発生する可能性があることを
考慮してのことなのです。


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2009年6月25日(木)

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