弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第488回
証券会社を訴えたい

HiQを読んでいるみなさんは、
株で損をするのは自己責任だから、
株で損をしたからといって
証券会社を訴えるということは考えないでしょう。

仮に、訴えたところで、
裁判所もみなさんの請求は認めないと思います。

しかし、証券会社が違法な行為を行った結果、
株で損をしたというケースでは、
証券会社を訴えて、
損害賠償請求をすることができます。

最近は、投資信託などの金融商品は、
銀行や郵便局の窓口でも購入できることから、
証券会社ばかりでなく、
銀行や郵便局に違法な行為があれば、
銀行や郵便局を訴えることができるのです。

最近は、金融商品取引法が施行されたことから、
証券会社などの違法行為について、
以前よりも訴えを起こしやすくなっています。

どういうケースで、訴えることができるのか、
このコラムで取り上げて行きたいと思います。

さて、今回は、株の取引を勧誘するに当たって、
最も基本的なルールを説明します。

証券会社などは、投資する人の財産状態や
投資経験、投資目的などから考えて、
その投資家に不適切な金融商品を販売してはならない
というルールです。
(これを「適合性の原則」と言います)

例えば、元本割れのない預金取引しかしたことのない人に、
いきなり値動きの激しい投資信託を販売するとか、
現物の株取引を始めて間もない人に、
信用取引を勧めることなどです。
株の知識経験のない高齢者や主婦は、
この適合性の原則の対象となることが多いです。

また、株の取引経験があったとしても、
為替が絡んでくるもの、換金がしにくいもの、
損をするリスクが高いものなどを勧めたケースでは
適合性の原則に違反する可能性があります。

適合性の原則に違反して、
本来勧誘すべきでない人に、
株などの金融商品の勧誘をして取引をさせた場合には、
それだけで違法な勧誘となり、
損害賠償請求が可能となります。


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2009年9月10日(木)

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