弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第555回
儲からなかったら返金します 

前回、「必ず儲かります」
という話でトラブルになっているという話をしました。

HiQをご覧になっているみなさんは、
必ず儲かる話がそう簡単に
その辺に転がっているはずは無いことは
十分理解されていると思いますし、
大抵の人は、ただ「儲かる」と言われても、
怪しいと思い、手を出さないでしょう。

そこで、前回言った体験談を掲載して、
他の人はこれをして既にこれだけ儲かっている
という幻想を抱かせます。

その上で、受け手を焦らせるために、
おそらく「早くしないと儲けがなくなる」、
あるいは、「有料情報は数を限定して提供している」
と書くかもしれません。

そして最後に、だめを押すために、
「儲からなかったら返金します」
という殺し文句が書かれているものもあるようです。

この言葉には、
「必ず儲かるなんて怪しいと思うけど、
儲からなかったら返金すると言っているくらいだから、
自信があるのかも知れない。」
と情報を信用させる側面と、

「それに、儲からなかったら返金してくれるのであれば、
やっても損はしない」
とお金を出すことに警戒を解かせる側面とがあります。

しかし、ネット上で、
「必ず儲かる」という情報を提供し、
「儲からなかったら返金します」
と約束しているような人や会社は、前回も言いましたが、
どこの誰かもわかりません。

いざ儲からなかったときに、
返金を求めようとしても、
書かれた住所には、そんな人も、
そんな会社もないということは十分ありえます。
そもそも、相手の住所や名前がはっきりしないものもあります。

そうなると、裁判を起こしようにも起こせません。
仮に、裁判を起こせて、
返金約束を理由に勝ったとしても、
実体も無く、どこに財産があるかわからないというのでは、
回収しようがありません。

裁判をするために、弁護士に依頼するには、
最低でも、10万円〜20万円かかかると思いますが、
ネットの有料情報は、平均で5万2000円だそうで、
弁護士に依頼すると費用倒れです。

しかも、お話したとおり回収見込みは極めて少ないです。
だから、ネット上に、
「儲からなかったら返金します」と書いてあっても、
ノーリスクじゃないんです。


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2010年5月27日(木)

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