弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第561回
スケベ心で大変な被害に

大手引越会社の会長(当時)が、
女子高生に対する淫行容疑で書類送検されたことは、
みなさん報道を通じてご存知だと思います。

僕が、コラムでこの事件を取り上げたのは、
大会社の会長が刑事事件を起こしたことが理由ではありません。

この会長は、女子高生が所属していた
芸能事務所の社長から恐喝を受けていたようです。

もちろん、「女子高生に対する淫行をマスコミにバラす」
と言われて金銭の要求を受けていたのです。

そして、この会長は、
800万円を口止め料として支払ってしまいました。
それ以上の金額を支払ったという報道もあります。

800万円もの支払をしたのに、世間の知れるところとなり、
書類送検され、会長は辞任せざるを得なくなってしまったのです。

引越会社のコメントによると、
会長は、継続的に恐喝を受けていたようです。
違法行為について、一度、知られてしまうと、
支払わないとバラすという状況は、永久に続くので、
恐喝行為は、止まらず継続しがちです。

もちろん、一定の金額までは、捨てる覚悟で払い、
それ以上の請求を受けたら拒絶するという選択肢もあり、
なかなか弁護士として相談された場合に、
払うべきか拒絶すべきか判断に迷います。

しかし、一般的には、
違法行為をそういう人間に知られた段階で腹をくくって、
一切拒絶するしかないのです。

さて、産経新聞によれば、
さらに、会長は、女子高生との契約上の権利を譲り受けた
別の芸能事務所から
19億円もの損害賠償請求をされているようです。

これは、恐喝に応じたために、
請求すればさらに取れると思われたかどうなのか。

ちなみに、請求している事務所は、
元の事務所の社長が金銭を受け取ったことは知らない
とコメントしているようです。


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2010年6月17日(木)

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