弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第612
契約すれば仕事を紹介します

自分のところの商品を購入したり、
サービスの提供を受けたりしてくれた顧客に、
それに関連する仕事を紹介したりするということは、
ビジネスの現場では、よくあることかもしれません。

しかし、世の中、悪い人たちがいて、
これを悪用し、仕事の欲しい人たちに、
「この商品を買えば仕事を紹介する」あるいは、
「このサービスを受ければ仕事を紹介する」と言って、
商品を買わせたり、サービスを受けさせたりします。

以前は、仕事の紹介が業者側の義務なのか、
無償で提供するサービスなのかあいまいで、
トラブルとなっていました。

そこで、ずいぶん前ですが、
これらは、「業務提供誘引販売取引」と言って、
特定商取引法という法律で規制がされています。

例えば、「当社の行政書士の教材を買って資格を取れたら、
行政書士の仕事を紹介します」という資格商法、
「当社のパソコンを買って、パソコン教室に通ってくれたら、
パソコンを利用したホームページ作成の仕事を発注する」
という内職商法がこれらに当たります。

一時期、資格商法や内職商法
ということで騒がれて下火になっていたようですが、
最近、「携帯電話サイトを開設すれば仕事を紹介する」と言って、
高額なサイト開設料を請求するケースが増えているようです。
日経新聞に記事が掲載されていました。

携帯電話サイトということと、
若者の就職率が悪いということもあってか、
若い人がターゲットとなって被害が広がっているようです。

日経新聞では、
業務提供誘引販売自体が
禁止されているかのような記事となっていましたが、
業務提供誘引販売取引自体は、
特定商取引法では禁止されていません。

法律上は、そのような取引をしたときは、
クーリングオフなど法定事項を記載した
書面を交付したりする義務などがあったり、
クーリングオフができないなどと
虚偽の説明をすることが禁止されたりしています。

このようなビジネスモデルでビジネスを行うときには、
法律の規制を知って、遵守する必要があります。 

消費者側としては、そもそも仕事を紹介する
という話を簡単に信じないことが大切となります。


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2010年12月21日(火)

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