弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第624回
ついに相続税の増税

いつかいつかと言われていた相続税の増税が、
ついにされることとなりました。
一番大きな変更は、基礎控除が少なくなる点です。

一般の方は、相続すれば
必ず相続税がかかると思っている人が多いようで、
相続の相談にいらした方の多くは、
相続税の心配をしています。
誰でも税金は取られたくないので、
当たり前ですが。

しかし、実際に、相続税の発生するのは、
相続が発生したうちの4%くらいと言われていました。

その原因は、相続税には、基礎控除と言って、
一定の金額までは、
相続しても、相続税がかからないからです。

これまでは、5000万円+1000万円×相続人の数でした。
親が亡くなって、2人の子供が相続するケースでは、
基礎控除は、5000万円+1000万円×2=7000万円なので、
遺産が7000万円を超えていなければ、
相続税はかからないということになるのです。

今回の相続税法の改正では、
この基礎控除額を、
3000万円+600万円×相続人の人数まで下げるようです。

先ほどのケースでは、
3000万円+600万円×2=4200万円が基礎控除となります。

したがって、遺産が4200万円を超えていると、
相続税が発生することとなります。

4200万円となると、
だいぶ相続税のかかる相続が増えてきそうです。
ただ、現金7000万円は7000万円のままで評価しますが、
土地は、路線価で計算します。

この路線価は時価の8割と言われており、
7000万円の土地であれば、
相続税上は5600万円で評価されることとなります。

しかも、居住用の土地や商売を営むのに必要な土地などには、
さらに評価を下げる特例があります。

したがって、見かけほど今回の相続税法改正により、
相続税を納める人が増えるわけではないようです。

東京新聞によると、相続税対象者は、
4%から6%にまでしか増えないそうです。 
意外ですね。

しかし、今回の相続税法の改正で、
自分の相続に相続税がかかるか
心配になる人は増えるでしょうから、
税理士さんへの相続税の相談は
多くなるのではないかと思います。 


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2011年2月3日(木)

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