弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第662回
若手弁護士が顧客のお金に手を付けた

同業として、恥ずかしい事件が起こりました。
みなさんも、新聞報道などでご存じだと思いますが、
35歳の弁護士が、顧客から預かっていた預金を着服したとして、
逮捕されました。

35歳と言っても、2007年12月に登録したので、
逮捕時点で、弁護士になって4年目です。

着服した容疑をかけられている期間は
2009年7月から2010年9月だということですから、
弁護士になって2年もたたずに、
顧客のお金に手を付けたという話です。

若手弁護士と言えば、知識経験がなくても、
まだ弁護士としての理想に燃えて、
知識や経験不足を
熱意や誠実さなどでカバーしていくのが普通だと思っていました。

知識や経験不足は、調べたり、
考えたりすることに時間をかけることでカバーはできます。

お金に困っていたのかどうかわかりませんが、
お金に困っていたとしても、
弁護士になって2年もたたないうちに、
依頼者のお金に手を付けるなんて、
何のために弁護士になったのかわかりません。

この弁護士については、よく知りませんが、
司法試験の合格者が増えたためなのか、
この弁護士が特別なのか、
こんなことはあってはならない話です。
もちろん、10年20年と経験を経た弁護士なら
してもよいという話でもないのですが。

逮捕時の日経新聞の記事では、
「第三者に通帳を預けていたら
勝手に貯金から引き出された」と話していたと書かれており、
6月18日の中日新聞の記事では、
横領したお金をギャンブルや
FX取引の損失の穴埋めに使っていたとも書かれています。

情けない話ですが、みなさんには弁護士にも
そういう弁護士がいるので注意してくださいと、
申し上げるほかありません。


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2011年6月23日(木)

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