弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第667回
自分に都合の良い選択肢がない

人は、自分に有利な選択をしようとします。
しかし、現実において、
自分に有利な選択肢がないことも多いです。

HiQをご覧になっているみなさんは、
投資に興味を持っている方が多いことから、
ハイリスクハイリターン、
ローリスクローリターンという言葉はよくご存じだと思います。

損をするリスクが高い投資の方が
得られる利益も大きい可能性があり、
損をするリスクが少ない投資の方は
得られる利益も小さい可能性が高いということです。

しかし、みなさんは、
少ないリスクで高い利益を得られる商品があればいいな
と思うことでしょう。

僕もそう思いますが、現実の世界では、
そのような自分にだけ有利な選択肢はなかなかないようです。

裁判の場でも、
自分に有利な選択肢がない場合は結構あります。
例えば、法律上や証拠上、自分の立場が弱い場合です。

1000万円の請求をしているケースで、
どうも法律上や証拠上、敗訴のリスクがあります。
 
でも、自分は正しいし、
全額相手から支払ってもらって当然と思っています。
このようなケースで、
話し合いで解決できないかと和解の話となりました。

自分が正しいと思っている方は、
当然全額を支払ってほしいと主張しようとします。

しかし、相手も、
勝つ見込みがあると考えているわけですから、
全額支払うのであれば、
裁判で負けてから、払っても同じことで、
それなら和解しないと断られてしまうだけです。

相手に和解を断られてしまうと、
敗訴のリスクを負って判決をもらうほかありません。

法律上や証拠上、勝訴の確立が五分五分の場合、
1000万円の請求は、0円になってしまうかもしれません。

0円になるリスクを負って判決をもらうか、
それとも敗訴リスクが五分五分ならば、
500万円で手を打つか、
どちらも自分に有利な選択肢ではありません。

しかし、裁判の場では、
そのような選択を迫られることも多いです。


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2011年7月12日(火)

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