弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第669回
弁護士5年目の平均年収2000万円

先日、弁護士の平均所得について、お話ししました。
そのときは、全弁護士の平均所得が1471万円で、
一番稼いでいる経験20年以上の弁護士の所得が
2256万円だという話をしました。

ところが、日経新聞の見出しには、
「5年目で2000万円」と書かれていたので、
びっくりしました。
しかし、よく見ると、平均年収でした。

年収と所得の違いは、
わかっている方も多いと思いますが、
年収は、経費を引く前の売上全部ということになります。
所得は、売上から経費を引いた金額ですね。

したがって、自分で事務所を経営している弁護士は、
収入は多いけれども、
事務所の家賃や従業員の給料などを支払わなければならないので、
所得は小さくなります。

逆に、他の弁護士に雇われて給料をもらっている弁護士は、
事務所を経営している弁護士に比べれば、
家賃や人件費などがかかりませんから、
収入がほとんど所得と同じこととなります。
給与所得控除はありますが、
支出のない経費なので、
この部分も実質的には可処分所得となります。

平均収入とすると、事務所を経営している弁護士か、
雇われて給料をもらっている弁護士かはわかりませんので、
2000万円という数字にはびっくりしますが、
実際、これが全部使えるお金というわけではありません。

だから、サラリーマンが得ている給料とは、
単純には比較できません。

日経新聞の記事を読むと、
1年目から15年目の弁護士の平均所得は、
1036万円だそうです。

この前、私が取り上げた日本弁護士連合会の調査結果では、
一番稼ぐ経験20年以上の弁護士も含めた平均が1471万円ですから、
その部分を除いた平均は、そんなものなのかもしれません。

このデータは、
法曹の要請に関するフォーラムが調査した結果だそうです。
そんなに多くはないけれど、
現状は、普通の人よりも恵まれていることは確かです。

ちなみに、日経新聞は、
民間企業の10年から14年の平均給与
(おそらく高卒なども含まれていると思います)と比較して、
弁護士の収入が多いことを印象付ける記事となっていますが、
日経新聞の記者やマスコミ関係者、
金融機関や上場企業の10年から14年の平均給与と比較したら、
そんなに多いわけではないかと思われます。
調べていないのでよくわかりませんが。 


←前回記事へ

2011年7月21日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ