弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第681
突然、離婚の危機を迎えたら

NHKで、「もしも明日・・・『離婚の危機を迎えたら』」
という離婚に関する番組を放映していました。

離婚の危機に陥った夫婦のドラマを元に
芸能人がコメントするという構成を取っていたため、
ドラマの方は内容が薄かったです。

それに加えて、普通の夫婦でも離婚の危機に陥るというのが、
番組の意図だったためか、
ドラマでは、夫婦の双方にあまり悪いところがなく、
どうして夫は、妻に黙って、突然子供を連れて家を出て、
弁護士に依頼してまで離婚したいと思ったのか、
視聴者に伝わりにくいものでした。

ドラマの中での離婚原因は、
妻が夜遅くまで働いて、家事や育児をしないこと、
子供がガラスでけがをしたときに
夫に任せて自分は仕事に行ったことくらいです。

このくらいでは、裁判をした場合、
おそらく離婚は認められないでしょう。

妻と夫を逆にしたら、
それこそ、夜遅くまで働いて、家事や育児をせず、
子供がガラスでけがをしたときに妻に任せて仕事に行く夫は、
世の中に、多いと思います。

でも、夫がこのようなことをして、
妻が離婚を求めることはないし、
離婚を求めたとしても裁判では認められないでしょう。
だから、妻が同じことをしたからと言って、
離婚は認められないと思われます。

それから、番組では、
離婚調停に入り、泥沼化という場面もありましたが、
現実の裁判では、お互いに悪口を言い合うというのが普通で、
だから泥沼なのですが、
ドラマでは、お互いの悪口の言い合いはせず、
全然泥沼という感じはしませんでした。

ドラマは、何となく夫婦が、子供を間に入れて、
元に戻りそうな感じで終わりになりました。
(別れても子供の両親として
良い関係のままいるという解釈もできました)
 
単に、夫が離婚を考えて家を出て行ったくらいであれば、
こんな感じかと思います。

しかし、一般の人が弁護士費用を払って、
弁護士を入れてまで、離婚したいと思うことは余程のことで、
そんなケースは、泥沼化してしまい、
なかなか簡単にお互いへの不信感はなくならないですね。

以上のように、法律家からすれば、
現実の離婚の大変さは、あまり伝わらなかった番組でした。


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2011年9月8日(木)

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