弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第744回
弁護士が残業代請求

みなさんは、サラリーマンの方が多いでしょうから、
今日の弁護士が残業代請求というタイトルを見ても、
そんなの普通のことだと思われたかもしれません。

しかし、弁護士は雇われている勤務弁護士であったとしても、
自営業の面もあり、
時間や仕事に裁量を持って仕事をしているので、
残業代を請求するという話は聞きません。

この弁護士が残業代を請求している相手は
いわゆる「法テラス」(正式には「日本司法支援センター」)で、
国が設立した公的な法人です。

この弁護士は、この法人に雇われて働いていたのですが、
辞める直前までは、
法テラスの特定の事務所の所長も務めていたそうです。

弁護士の言い分によれば、
飲食店の店長などが管理職かどうか争うときに言われる
「名ばかり管理職だった」ということのようです。

労働基準法上、管理職には
残業代を支払わなくても良いこととなっています。
だから、企業は従業員を管理職として
残業代を払わないようにしているケースもあります。
それが「名ばかり管理職」です。

僕は、法テラスの雇用や弁護士の権限が
どうなっているのかわかりませんし、
法律上は請求できる事情があるのかどうかもわかりませんが、
弁護士が、しかも、自分が所長だったのに、
残業代を請求するということには、違和感があります。

弁護士も公的法人に雇われることからスタートすると
純粋にサラリーマンとなってしまい、
自営業という感覚がなくなってしまうのかもしれませんね。

もちろん、残業を強制されていた。
残業しないと終わらない量の仕事を強制されていた。
という事情があれば
残業代を請求してもおかしくはありませんが。


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2012年5月10日(木)

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