第64回
月給の50倍もする車を買えるのか

以前、丸紅の北京支店で働いている時、
私の部署には6人の中国人スタッフが働いていました。
給料はみんな
月4,000-5,000元(60,000-75,000円)ぐらいなのですが、
6人中4人が車を持っており、車で通勤していました。
丸紅の様な外資系企業で働いている人は、
普通の国有企業に比べれば確かに高給取りではありますが、
20万元(300万円)も30万元(450万円)もする車を
簡単に買える程の高給ではありません。
取引先からキックバックでももらってるんじゃないか、
とついつい疑いたくなる様な状態でした。

月給5,000元の人が26万元のアコードを買おうとすると、
月給の約50倍のお金を用意しなければなりません。
これはちょうど邱さんが著書で書かれていた
「サラリーマンの月給が2万円の時に、100万円の車を買う」
のと同じ感覚です。

例えば、月給が5,000元で
ボーナスが夏冬2ヶ月分づつあるとすると、
月給×16ヶ月で年収は8万元(120万円)になります。
中国では普通共働きですから、
奥さんも同じぐらいの収入があったとすると、
世帯収入は年間16万元(240万円)となります。
更に、国有企業をリタイアした親と同居していれば、
家賃はゼロですし、
親は元居た国有企業から十分な額の年金をもらっているので、
生活には困りません。

そう考えると、世帯収入を全額貯金して行けば、
2年もしない内にアコードを即金で買えるだけのお金が貯まります。
そう考えて行くと、そんなに無理な話ではありません。

マイカー購入者が増えている背景には、
人々の収入が上がった事、
WTO加盟により車の値段が下がっている事、もありますが、
もう一つの理由は、自動車ローンが借り易くなった事です。
これだけの条件が揃えば、
マイカー保有率が上昇していくのは時間の問題です。

一見すると「月給の50倍もする車を買えるのか」と思いますが、
上記の様に中国の世帯は日本の世帯より
可処分所得の比率が高いので、
自動車ローンを利用すればマイカーが射程圏内に入る、
という人は、多いのではないでしょうか。


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