第79回
SARSに泣く業界、笑う業界

SARSで最も大きな影響を受けた業界は旅行業界です。
中国国内のある大手旅行会社では、
海外からのツアーが5月は全てキャンセル、
6月7月も大部分がキャンセル、
中国国内旅行も半減しており、
危機的な状態になっているそうです。

これを受けて同社は、試用社員、アルバイトを全員解雇、
正社員も幹部など一部の社員を除いて一時帰休にしたそうです。
米国の同時多発テロ、イラク戦争と続き、
ただでさえ経営状態が良くなかった旅行業界ですが、
SARSがとどめを刺した様な形になっています。

航空会社やホテルも大変な事になっている様です。
北京便はどこの航空会社の便もガラガラ、
ホテルも稼働率が20%前後まで
落ち込んでいる所もある様です。
旅行関係に限らず、レストラン、娯楽施設など、
何しろ人がたくさん集まる業界は、落ち込みが激しい様です。

SARSの影響が心配される中強行された広州交易会も、
成約額、参加者共に、前回の2割以下に落ち込んでいるそうです。
日本企業も中国への出張を延期又は中止にした会社が多く、
好調を続けてきた中国経済への影響は
避けられない状況になっています。

こんな状況下でも、この危機を商機につなげよう、
という商魂の逞しい人もいます。
香港では保険業界で、
既に「SARS総合保険」の販売を開始した所があるそうです。
又、同じ香港で、登山用品が良く売れている様です。
これは、登山で体力を鍛え、
SARSの感染を防ぐ、という意図がある様です。

この他にも、マスクや薬関係は
大きく売上を伸ばしたと思われます。
又、当社のスタッフが自転車を買って、
バス通勤から自転車通勤に切り替えた事などからも、
自転車の需要が増加したのでは無いでしょうか。
外食もスーパーや市場に買い物に行くのも危ない、
という事になると、
カップラーメンなど保存食系のものも
売上を伸ばしているのでは無いかと思います。
実際、私も昼食用にカップラーメンを買い込みました。

SARSに泣く業界もあれば、笑う業界もあります。
今回、思ったのは、世の中何が起こるか分からないので、
何かが起きて一つの事業が壊滅的な状態になっても、
他の事業で会社を支える事が出来る様に、
多角化をしておかなければいけないな、という事です。


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