第84回
スピード感に欠ける日本企業

もちろん、業界によっては、事前の調査や視察をして、
効率的にビジネスを進める事によって、
そこに掛けた時間と金を上回る付加価値を得る事が
出来るかもしれません。
しかし、これだけ移り変わりが速い国にいると、
何しろまずは始めてみないと、という気持ちにさせられます。

リスクの少ない状態で小さく始めてみて、
ビジネスをしながら市場の感触を掴んでいく。
軌道修正が必要だと思ったら、軌道修正しながら、
だんだん規模を大きくしていく。
こういうスピード感が、
今の日本企業には欠けているのではないでしょうか。
せっかく斬新なビジネスのアイデアがあっても、
調査や視察を重ねている内に、
誰かに先を越されてしまっては、意味がありません。

更に、自分で実際にやってみる事は、
正確な情報を得る為の近道です。
中国での会社設立の方法、中国の税制など、
私が持っている知識は、全て実際に会社を設立したり、
運営したりする中で得てきた知識です。
自分の人生が掛かっているので、覚えも自ずと早くなります。
これらの事柄を外側から調査するとしたら、
大変な労力と時間と金が掛かります。

例えば、自社の製品を中国で売りたいとします。
企業向けの商品ならば、何しろ中国企業に売り込んで、
その反応を見る事によって、
だいたいの感触は掴めるのではないでしょうか。
1件1件売り込んでいくのは大変ですので、
当社では中国企業約440万社の名簿を入手して、
ダイレクトメール発送サービスを行っています。
業界や地域を絞ってダイレクトメールを打ち、
その反応を見る事によって、
市場の状況を判断する事が出来ますし、
うまくいけば販売に直結します。

一般消費者向けの商品ならば、
「ここぞ」と思う場所に小さな店を開いて、
お客さんの反応や、客層を見る事から始めては如何でしょうか。
物を売って運転資金を稼ぎながら、
正確な市場情報がどんどん蓄積されて行く事でしょう。

日本も高度経済成長期はいけいけどんどんで、
会社の意思決定も早かったと思うのです。
稟議など何ヶ月も掛けて回していては、
他社においしい所を取られてしまいますから。
しかし、バブルが崩壊してからは、
急にスピード感が無くなり、
失敗しないように失敗しないように、
石橋を叩いて渡らない会社が増えたような気がします。


←前回記事へ 2003年5月14日(水) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ