第92回
競争が激しい北京の日本料理市場

中国で自分で事業を興そうと思った場合、
最もポピュラーなのは日本料理屋を開く事です。
日本料理屋ならば、
料理がおいしいかまずいか自分でも良く分かりますし、
取り敢えずの主力顧客である日本人の考え方も分かります。
それに、何はさておき日銭が稼げます。
私は独立起業してみて痛感したのですが、
資金繰りの観点から見て、
何しろ日銭の稼げる商売は良いです。

1996年に私が北京に来た時には、
北京には数えるぐらいしか日本料理屋がありませんでした。
それが今では数百軒を数える様になりました。
以前は、日本料理屋というだけで、
割と値段が高くてもお客さんが入っていたのですが、
これだけ軒数が増えてくると、
値下げや割引競争が激しくなっています。
客層も日本人だけを相手にしていては、
立ち行かなくなってきました。

そこで、2−3年前から多くなり始めたのが、食べ放題です。
中国人の中でも日本料理が好きな人は多いのですが、
一般的に日本料理は量が少なくてお腹がいっぱいにならない、
と言われており、敬遠する人が多かった様です。
しかし、食べ放題ならその心配は要りません。
食べ放題の出現により、
多くの北京の日本料理屋が
中国人顧客を獲得する事に成功しました。
もっとも、その成功を見た他の日本料理屋が
続々と食べ放題を始めた為、
今度は食べ放題同士の価格競争が始まりましたので、
みんながちゃんとした利益を得ているのかどうかは分かりません。
ちなみに、2−3年前、食べ放題が出始めの頃は
食べ放題1人150−200元(2,250−3,000円)が主力でしたが、
最近は生ビール、ソフトドリンク飲み放題も付いて
1人68元(1,020円)なんていう所も出て来ています。

日本料理屋の中には、
こうした価格競争の消耗戦に巻き込まれない様に、
様々な差別化を図るお店も出て来ました。
内装に特徴を出すお店、
料理を抜群においしくするお店、
お好み焼きや焼き鳥に特化するお店、
たくさんの日本酒を揃えるお店などなど。
こうした差別化に成功したお店は、
順調に業績を伸ばしている様です。

北京の日本料理市場は、
既にかなり飽和しており、激しい競争の時代に入っています。
これから北京で日本料理屋を始めようとされる方は、
何らかの強みを持って、他社と差別化が出来ていないと、
苦戦を強いられるのではないかと思います。


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