第156回
中国起業相談

最近、私も偉くなって、
「中国で起業したいのですが、アドバイスしてください」
などという相談を頂く様になりました。
こうしたチャレンジャーの方々には、
是非ともがんばって頂きたいので、
知っている限りの事を全てお教えするのですが、
起業に対する意識が余りにも低い方や、
考え方が大きくずれている方もいらっしゃるのが現状です。

まず一番困るのが、
「中国で起業したいのですが、何をやったら良いでしょうか?」
という質問。
ちょっと、何か無いの、こう、腹の底から湧き上がる、
「俺はこの仕事を一生の仕事にしたい!」とか、
「私は中国を舞台に、このビジネスで成功したい!」っていう、
強烈な思いは?
「中国の方が日本より景気が良いので、
ビジネスチャンスも多そう」なんていう生半可な気持ちでは、
中国は元より、日本でも、世界中どこでも
成功は覚束無いと思うのですよ。

起業セミナーの様で申し訳無いのですが、
やはり「強烈な思い」が無いと、
中国企業にお金を払ってもらえなかったり、
注文と全然違う物が出来てきたりしただけで、
へこたれてしまいます。
「強烈な思い」を持った人からは、
「何をやったら良いでしょうか?」という言葉は
出て来ないと思うのですよ。

これよりかなり良いのは、
「中国でこういうビジネスをやりたいのですが、
どうでしょうか?」という質問。
しかし、よくよく話を聞いてみると、
そのビジネスの中から「自分」がスポッと
抜け落ちている場合が多いのです。
30-40年前に日本が経験した高度経済成長を、
今体現している中国。
以前お話しした「日中タイムマシン経営」の観点から見れば、
日本にあって中国に無いビジネスなど、いくらでもあります。
その中には、個人で出来るものもありますし、
どう考えても間違いなくヒットする、というものも多いです。

しかし、「では、そのビジネスの中で、あなたの強みは?」
と訊かれると、口篭もってしまう方が多いのです。
これはアイデアばかりが先行して、
そのアイデアの中で自分がどういう強みを発揮出来るか、
という考え方が欠如しているからです。

例えば、中国には無い日本のサービスを、中国で始めるとします。
最初は受けるかもしれませんが、その噂を聞きつけた中国人が、
同じサービスをもっと安い料金で始めます。
いくら「元祖」だとか、「本家」だとか言っても、
消費者は同じサービスなら安い方を選びます。
そこで後発を寄せ付けないだけの、
圧倒的な強みが自分にあるかどうか。
これが、その後、
会社が存続出来るかどうかのキーポイントとなると思います。


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