第207回
中国版リクルート

情報誌自体の価格はタダ同然にして、発行部数を上げ、
たくさんの広告を取り、広告料を主な収入源にする、
というビジネスモデルは、リクルートが始めたものです。
御多分にもれず、というか、やっぱり、というか、
大西さんもリクルート出身です。

リクルート、という会社は、
退社して自ら事業を興す人が非常に多い会社です。
各界に優秀な人材を送り込む
「人材輩出企業」とも呼ばれています。
会社が起業を奨励しているので、
事業意欲がある優秀な人材が集まるのでしょう。

大西さんはリクルートを退職した後大連に渡り、
1995年に「大連ウォーカー」を創刊しました。
その後、1998年に北京、2001年に香港、2003年に上海で
同様の日本語情報誌を発行、
現在は、「コンシェルジュ」という名前で、
中国4都市、合計10万部以上を発行する
大メジャー日本語情報誌となっています。

また、1999年からはウェブ版である
「ちゃいなび」(http://www.navigator.co.jp)も開設、
中国生活情報を発信すると共に、
読者相互の情報交換の場も提供しています。

しかし、その後、無料の日本語情報誌も増えてきました。
現在、北京では「コンシェルジュ北京」の他に、
「北京ウォーカー」、「スーパーシティ」、「トコトコ」と、
合計4誌が発行されており、
収入源である広告の争奪戦も激化している様です。

「日本人」という観点から見れば、
北京は人口1万人そこそこの「村」です。
そんな「村」に生活情報誌が4誌、というのは、
明らかに多すぎます。
日本人市場が飽和しているならば、
やはり狙うべきは1,300万北京市民です。

現状、中国にリクルートの様な会社がある、
というのは聞いた事がありません。
実際、これだけ人々が家や車を買う様になっても、
「週刊住宅情報」や「カーセンサー」の様な雑誌は
見た事がありません。
家や車を買う場合は、不動産会社や自動車ディーラーを
自分で探さなければなりません。

リクルート創業者の江副さんが、
「大学新聞広告社」を創業したのが1960年。
高度経済成長の真っ只中で、
人々が家を買ったり、車を買ったりし始めた時期です。
今、中国はちょうど、そうした時期に差し掛かっています。
「日中タイムマシン経営」の観点から、
今、中国版リクルートを創業すれば、
将来、現在のリクルートの様な、
巨大情報コンツェルンを築く事も夢ではない!
と思うのです。


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