第209回
「ドラゴンイヤー」

今の中国は何しろスピードが速いです。

以前、IT業界では「ドッグイヤー」という言葉が使われました。
これは、普通の世界で7年かけて起こる事が、
IT業界では1年で起こる、という事です。
変化の激しいIT業界の時間感覚が、
寿命が人間の1/7しかない犬の時間感覚に似ているので、
そう呼ばれていた様です。
今の中国で1年間に起こる変化は、7年とは言いませんが、
日本の3年分はありそうです。
「ドッグイヤー」ならぬ、「ドラゴンイヤー」という感じです。

北京の街に住んでいても、
日々刻々と風景が変化しているのが分かります。
3ヶ月前、貧民窟だった所が、
いつの間にか高級マンションになっている、
なんていう事もあります。
中国のビル建設の速度は、何しろ速いです。
安い労働力はいくらでもありますので、
昼夜問わず、人海戦術でどんどんビルを造っていきます。

こんなですので、1年も2年も中国に来ていないと、
全く変わってしまった風景に驚く事になります。

街の風景もそうですが、
今まで常識とされていた事も、
ものすごい勢いで変わっています。

中国製品は悪かろう安かろう、
というイメージを持たれている方も多いかと思いますが、
今の中国ではちゃんとしたお金を払えば、
日本製と比べて遜色が無いぐらい
品質の良いものが手に入る様になっています。

製品にもよると思いますが、
「中国は安価な粗悪品、日本は付加価値の高い高級品で棲み分け」
などという考え方は、これからは通用しません。
中国企業はどこも「如何に安く作るか」ではなく
「付加価値を付ける事によって、如何に高く売るか」
という方向にシフトしており、
今後は日本製品と真っ向から勝負する事になります。

こんな変化の激しい中国でビジネスをするならば、
頻繁に中国に来るか、中国に住んでしまう必要があります。
ここでは、去年の常識は今年の非常識です。
日本にいて「昔の中国はこうだった」という人の話に
耳を傾ける暇があったら、
まずは、中国に来て、ご自分で「今」の中国の
「勢い」や「スピード」を感じて頂きたいと思います。


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