第228回
「暗黙のルール」

北京の交通マナーはひどいです。
一番外側の車線からUターンをかましたり、
道を間違えると急ブレーキを踏んで、バックで道を逆走したり、
もう無茶苦茶です。
事故の頻度がこの程度で済んでいる事自体、奇跡です。

よく中国の人から
「柳田さんも車を運転すればいいのに」と言われるのですが、
私はこの街では絶対に運転したくありません。
運転が無茶苦茶な車に加えて、
自分の都合だけで飛び出してくる自転車、
赤信号でも平気で渡る歩行者など、
全てに気を配っていたら神経が擦り減ってしまいます。

タクシーに乗っていても
神経が擦り減る事には変わりないのですが、
私はなるべく前を見ないようにしていますので、
比較的心の平安を保ったまま、移動する事が出来ています。

特に最近は、急激に個人所有の車が増えていますので、
その分、免許取りたてのドライバーも増えています。
新米ドライバーは運転するのに必死で、
周りが見えていませんので、かなり自分勝手な運転をします。
「あそこの信号で右折しなきゃ」と思い込んだら、
どの車線にいても強引に右折します。
危ないって、そんな事したら。

かなり無茶苦茶に見える北京の交通なのですが、
それなりの「暗黙のルール」もある様です。
日本では、直進車両優先ですが、
北京では車の鼻先を先に入れた方が
通っていい事になっています。
又、信号や料金所で並んでいる所に、割り込み車両が来たら、
ちゃんと入れてやる事になっています。

日本に比べると多用されるクラクションも、
「これからそこを通るから、気を付けろ」とか、
「危ないから、寄って来るな」という、
クラクション本来の目的で鳴らします。
日本の様に、怒りの感情をあらわにしたクラクションは
多くありません。

我々日本人の目から見ると、北京の交通は無茶苦茶なのですが、
こうした「暗黙のルール」が分かれば、
そんなに無秩序なものではないのかもしれません。
これは中国ビジネスも同じで、
中国の人たちの「暗黙のルール」が分かれば、
ビジネス上の「事故」も減るのかもしれません。


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