第308回
中国起業、丸3年

私が中国で起業して、この10月で丸3年になります。
最初は全く仕事がなく、
妻と3人の子供を養っていかなければならないのに
お先真っ暗である事を考えると、
食べれず、眠れずで7kg痩せて、
もう諦めて日本へ帰って再就職先を探すしかないか、
と思った時期もありました。

仕事がある様になってからも、
翻訳代金を踏み倒されたり、
4-5人でドカドカと踏み込んできた工商局の役人に
いんねんを付けられたり、
クビにした従業員が共有ファイルの顧客データを
全部消して逃げたりと、
決して順風満帆という訳ではありませんでした。

それでも、こうして会社を潰さずに3年間やってこれたのは、
ひとえに、私を支えて頂いた皆様のお陰です。
皆様のご助力が無ければ、今頃は家族5人、
北京の路頭に迷っている所でした。
本当に心から感謝しています。

サラリーマンを辞めて起業してみて、
一番つらいと思ったのは、仕事がない事です。
サラリーマンの時には、常に仕事が山積みになっており、
仕事は少なければ少ないほど良い、と思っていたのですが、
独立して自分で会社を経営するとなると、
「仕事がない」イコール「収入の見込みがない」です。
こんなに不安な事はありません。

来る日も来る日も仕事がないのに、
資本金がどんどん減っていくのを見るのは、
本当に嫌なものです。
あの時ほど簡単に会社を辞めた自分の浅はかさを呪い、
毎月月末になると給料がもらえる
サラリーマンを羨んだ事はありません。

サラリーマンの時には、将来がある程度見えてしまう、
というつまらなさが嫌で嫌でたまらなかったのですが、
会社を辞めてみて、
毎月給料をもらって安心して働ける有り難さが、
身に沁みて分かりました。

中国で起業して丸3年。
今では何とか、
来月の生活費の心配をしなくても済む様になりましたが、
今後も「仕事を頂ける事の有り難さ」を忘れない様、
精進していかなければならない、と思っています。


←前回記事へ 2004年10月15日(金) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ