第341回
「最初に井戸を掘った人の恩」

早い時期から中国に工場を作り、
現地生産をしてきた海外の自動車会社は、
80-100%の関税の壁に守られて、
高い利益を得てきました。
ドイツのフォルクスワーゲンなどは、
中国で販売した自動車1台当たりの利益が、
同社の世界平均の2倍以上に達した事もあるそうです。

しかし、後発になればなるほど販売価格は下がり、
現在では、マイカーブームにも関わらず、
各社とも利益率は非常に低い、
という状況になっている様です。

「以前、中国政府は自国の自動車産業近代化の為に、
海外の自動車生産技術を導入するべく、
海外の主要自動車会社に合弁工場の設立を打診した。
トヨタは「中国の自動車市場はまだ成熟していない」
という理由で、進出を断ったが、
フォルクスワーゲンは進出した。

中国政府はフォルクスワーゲンの恩に報いる為に、
高い関税率で輸入車の流入を防ぎ、
フォルクスワーゲンを儲けさせた。
トヨタは今頃になって進出してきているが、
関税率の低下と共に、
中国国内の自動車販売価格はどんどん下がり、
大きく儲ける事は出来ないだろう。
やっぱり、中国人は
最初に井戸を掘った人を大切にするんですよ」
というのが、
中国の人たちがよく話してくれる
「中国自動車産業物語」です。

「水を飲む時には、
最初に井戸を掘った人の恩を忘れるな」。
これは中国の古いことわざです。
赤字覚悟で中国に進出するのは、
日本の大企業の稟議システムの中では
不可能に近いと思いますが、
中国が抱える問題を解決するべく
率先して「井戸を掘る」企業に対しては、
中国政府は必ずや手厚い「恩返し」を
してくれるのではないかと思うのです。


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