第347回
「中国市場のリトマス試験紙」

今、日本企業が中国進出をするとすれば、
やはりまず上海、という事になります。

その理由の筆頭として挙げられるのは、
上海はマーケットとして非常に魅力がある、
という事です。

それは単に人々の所得水準が高い、
という事だけではなく、
上海人には中国の他の地域の人たちにはない
「新しいものを受け入れる気質」がある、
という事も、私たち外国人にとって、
上海が魅力あるマーケットである
大きな要因である様に思います。

私は第255回 「ラーメン」と「拉面」で、
「中国の伝統的な食文化の中で、
「拉面」を始めとする「主食」は
お腹を満たす為だけのランクの低い食べ物なので、
ラーメンだけの食事で満足する中国人はいない。
よって、いくらおいしくても、
中国でラーメン屋をやって成功するのは至難の業である」
というお話をしました。

しかし、その後、出張で上海に行った際に、
それが間違いである事が分かりました。
「味千ラーメン」という
日式のラーメン屋さんに行ったのですが、
なんと!行列ですよ、行列!

店内ではたくさんの上海の人たちが、
「ラーメンだけの食事」をしていました。
北京ではあり得ない光景を目の当たりにして、
「やはり上海は人々の意識も進んでいる」
という思いを強くしました。

今後、中国ではこうした
「新しいものを受け入れる気質」が、
上海からゆっくりと中国全土に
広がって行く事が予想されます。
今の上海で売れているものを見れば、
2-3年後の北京や大連、
6-7年後の太原や鄭州、
10-15年後の蘭州やウルムチで
売れるものが見えてきます。

「中国にはない日本のものを、
中国に持っていってちゃんと商売になるかどうか」
という事を試すには、上海は絶好のマーケットです。
そういった意味で、上海は
「中国市場のリトマス試験紙」と言えます。

逆に言えば、
中国で最も「新しいものを受け入れる気質」を持つ
上海人にさえ売れないものは、
中国のどこへ持って行っても
売れないのではないでしょうか。


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