第435回
わが子を谷底に突き落とす親ライオン

ライオンの親は、わが子を谷底に突き落とし、
自力で這い上がってきた子供だけを育てると言います。

国有企業改革を進める中国政府の心境は、
まさに、親ライオンのそれなのですが、
脂肪太りでぶよぶよのわが子たちは、
いきなり深い谷底に突き落とすと、
だれも這い上がって来られないかもしれません。

そこで中国政府は、
国有企業を浅い谷底に何回か突き落として、
徐々に筋肉をつけさせることにしました。

まず第一弾が、中国各産業の外資企業への開放でした。
国際競争力をもつ外資企業の中国各産業への投資を認め、
国有企業との競争を促しました。

第二弾が2001年12月のWTO加盟です。
これにより、今まで高い関税の壁で守られていた
中国国内の各産業が、外国からの輸入品との
競争にさらされることとなりました。

そして、第三弾が人民元の切り上げです。
人民元が切り上げれられると、
中国企業の輸出競争力はそがれ、
安い輸入品が海外から国内市場に
流入してくることになります。

中国政府は国内産業の状態を見ながら、
第三弾の突き落としを始めようとしている、
というのが現状です。

中国に進出した外資企業との競争に打ち勝ち、
関税の壁が撤廃されても輸入品に負けず、
人民元が徐々に切り上がり、
最終的に他の通貨のように変動相場制に移行しても、
まだ外国の製品と互角に戦えるようになれば、
中国の国有企業の国際競争力は本物です。

中国政府はこうした試練を何度もわが子に与え、
徐々に筋肉をつけさせ、
国際マーケットという土俵でも、
外国企業と対等に戦える
競争力をつけさせようとしています。

こうした試練を何度も克服して、
本物の国際競争力をつけた中国の国有企業が、
国際マーケットにデビューを飾る日は、
そう遠くないのではないか、と私は思うのです。


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