第479回
「あの興奮をもう一度」

私は1966年生まれ。
日本の高度経済成長の真っ只中で生まれたのですが、
ものごころついた時には、既に、
石油ショック後の低成長時代に入っており、
高度経済成長の勢い、というものを知らない世代です。

大学生の時には、バブル経済が
盛り上がりを見せていたのですが、
1989年に会社勤めを始めるとまもなく、
バブルはあっけなくはじけ、
何しろモノが売れない平成大不況に
突入してしまいました。

私が新入社員のときの課長さんや部長さんは、
高度経済成長期に若手と呼ばれていた世代です。
そういった大先輩と飲みに行くと、
当時は石炭の値段が今の3倍以上していて、
やたらめったら儲かった、とか、
お客さんが石炭を売って欲しくて
わざわざ訪ねてきた、とか、
景気の良い話がたくさん出てきました。

中には「お客さんのところに
営業に行ってきます」と偽って、
東京駅地下のサウナに行って汗をかいて、
そのまま会社に戻り、
お客さんの会社が入っているビルで
ボヤが出たのを知らずに、
もう一回冷や汗をかいた、
なんていう逸話もありました。

なんとものんきな話ですが、
高度経済成長期の当時は、そんなことをしていても、
十分な利益を出すことができたんですね。

そして、40年後の今、
今度は中国が高度経済成長の真っ只中にあります。

市場が成熟しきっている日本では
「その手があったか!」と誰もが感心するような
優れたビジネスモデルを編み出す必要がありますが、
高度経済成長中の今の中国では、
ごく普通の商売をしていても、
ちょっとツボにはまれば、
信じられないぐらいたくさんのオーダーが殺到します。

こうした中国企業の悩みの種は
「モノが売れない」ということではなく、
「モノが売れすぎて、どうやって
これだけのオーダーをこなそうか」
ということなのです。
モノが売れなくて困っている
日本の企業経営者のみなさんから見れば、
なんとも贅沢な悩みです。

当社も、オーダーが来すぎて困る、
というところまではいっていませんが、
おかげさまで、業績は力強く伸びています。

私は生まれたのが遅く、
日本では高度経済成長の勢いを
体験することができませんでしたが、
40年後、ここ中国で
その勢いを体験することができて、
大変ラッキーだと思っています。

日本の高度経済成長を体験できなかった世代の方も、
「あの興奮をもう一度」と思われる世代の方も、
高度経済成長の真っ只中で、
その勢いを肌で感じながら、
楽しく前向きな仕事をしたい、とお考えの方は、
是非、中国で働かれることを、おススメします。


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