第493回
「全品九割引」

中国では一割引のことを九折(じょーじゃー)、
二割引のことを八折(ぱーじゃー)と言います。
ちょうど日本の九掛け、八掛け、と同じで、
割引率ではなくて、
本体がどのぐらい残るかで表現するんですね。

以前、北京のある日本料理店が、
日本語雑誌に広告を出した際に、
なにかの間違いで、「全品九割引」と書いて、
大騒ぎになったことがあります。
たぶん、中国語の原稿が
「全単九折(ちゅえんだんじょーじゃー、
全品一割引)」だったのを、翻訳した人が
「九割引」と訳してしまったんでしょう。
「全品九割引」じゃー、
つぶれちゃいますよ、すぐに。

さて、みなさんは、
一割引の店と、二割引の店があったら、
どちらに行きますか。

当然、二割引の店の方が安い、とお思いでしょうが、
ここ中国では、同じ商品でも
一割引の店の方が、安かったりするのです。

中国の人たちは、お得情報に非常に敏感です。
値引きをしているお店があれば、すぐに行きます。

ですので、レストランの中には、
料理の定価を、えらく高い値段に設定しておいて、
「全単六折(全品四割引)」とか、
「全単半価(全品半額)」などという宣伝を大々的に打ち、
お客を集める、という姑息な手段を使う店もあるようです。

ですから、中国では、最初から
真っ当な定価を設定している店の一割引の方が、
定価をやたらと高く設定している店の二割引より安い、
なんてことが起こるのです。

中には、「当店はみなさまのご愛顧に応えるために、
全品二割引の期間を永久的に続けることに致しました」
なんていう広告までありました。
永久的に全品二割引を続けるんなら、
全品二割引なんて言わないで、
メニューの値段、書き替えなさいよ!

「○折」という文字を見ると、
ついついお得なような気がしてしまうのですが、
割引率に惑わされてはいけません。

やはり、中国でモノを買うときには、割引率ではなくて、
そのモノが、それだけのお金を払う価値があるのかどうか、
ということをよーく考えた上で、買うべきなのです。


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