第503回
「会社設立の目的」

先日、当社の過去の資料を見ていたら、
「会社設立の目的」という文書が出てきました。

この「会社設立の目的」は、2001年10月に
中国駐在員事務所代行サービスを提供する会社として、
この会社を立ち上げた時に私が書いたものです。

曰く、「中国駐在員事務所代行サービスを通じて、
ビジネスの世界から日本人と中国人の相互理解、
交流を促進し、ひいては、日中両国の友好に
貢献することを目的としてこの会社を設立する」。

我ながら大きく出たものです。
まだ、1元も稼いでいないのに...。

しかし、その後、開店休業、収入ゼロの状態が続き、
資本金がものすごい勢いで減っていったため、
「自分と家族が食っていくだけの
お金を稼がなければならない」という、
非常に現実的な問題に直面、
起業時の高い志は、心の隅に追いやられ、
「儲かることならなんでもやります」状態に
なってしまいました。

「カネを儲けることだけが目的の
志のない会社は存在意義がない」
とはよく言われますが、
いくら志が高くても、
志だけでは食っていけないのもまた事実です。
高い志を持ち続けるためには、
ビジネスを成功させることが
前提条件となるんですね。

当社は現在、日本企業とも、中国企業とも
お付き合いがあります。
日本企業は私をはじめとする日本人社員が、
中国企業はパートナーの劉さんをはじめとする
中国人社員が窓口となり、業務を行っています。

業務を進めていくうちに、
日本企業の主張と中国企業の主張がぶつかり合い、
このままでは交渉決裂、
という事態になることもありますが、
そうした案件について、私と劉さんが話し合っても、
意見が食い違うことはほとんどありません。

これは、私は中国企業の事情をよく理解し、
劉さんは日本企業の事情をよく理解しているためです。
両者が一方的に主張をぶつけ合うようなことがないため、
冷静且つ客観的に、日本企業と中国企業の双方が
納得できるような解決策を考えることができるのです。

昨年、日中関係がどんどん悪くなり、
日中両国民の相互理解が圧倒的に足りないことから、
中国では「反日派」が、日本では「嫌中派」が
どんどん増えていきました。

こうした事態を目の当たりにして、
「うちの会社が、日中両国民の相互理解や
日中友好に貢献できることは、
まだまだあるのかもしれない」
という思いを強くしました。

会社が創業5年目を迎え、
ビジネスも軌道にのりつつある今こそ、
「この会社は何を目的として設立したのか」
という原点に戻るべきなのかもしれません。


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