第544回
「中国一の金持ち村」

今、中国で最も有名な村が、
江蘇省江陰市にあります。
その名は「華西村」。
村を挙げての起業活動で
「中国一の金持ち村」になった村です。

以前の華西村は、
小さな貧困農村でした。
それが40年間にわたり同村を率いてきた
前書記・呉仁宝氏の主導で、
村を挙げて次々と企業を設立。
昨年、村の年間総生産額は
300億元(4,500億円)を超えたそうです。

華西村の人口は現在約3万人。
村民全員が鉄鋼、肥料、繊維、アパレルなど
63企業からなる「華西グループ」の企業で働いています。
村民1人当たりの平均年収は8万元(120万円)。
これは中国農村部の平均年収の約30倍に当たります。

華西村の村民は全員、
一戸建ての豪華住宅に住んでおり、
全世帯が自家用車を保有しているそうです。
年金、健康保険は完備、義務教育費は無料、
大学に入って、卒業後、
村に戻ってくる若者については、
在学中の学費、生活費を全て、
村が負担してくれるそうです。

絵に描いたような豊かな農村。

現在、中国が抱える最重要課題である
三農問題を解決するための答えが全て、
この小さな村の中にあるのです。

「中国一の金持ち村」の成功の秘訣を探るため、
華西村には中国全土から
既に1万人以上の村の幹部たちが
視察に訪れているようですが、
華西村の幹部は、訪問者にその成功の秘訣を
包み隠さず披露しているそうです。

それどころか、華西村は、今後5年間で
5万人の共産党村支部書記を華西村に無料で招いて、
その成功の秘訣を伝授する、という
「華西村に学べ運動」を開始するそうです。
華西村はこのプロジェクトに
2,500万元(3億7,500万円)を自腹で投資し、
中国共産党の掲げる「共同富裕」の実現に
協力するそうです。

同村の前書記である呉仁宝氏曰く
「全国が豊かになってこその「豊かさ」であり、
全国の村の書記がこの村に来て
学んで得るものがあれば、
全国の富に貢献したことになる」とのこと。

いや、ご立派!
金持ちになると、
言うことまで違ってきますなぁ。
職権を濫用して、私腹を肥やして喜んでいる、
貧乏村の木っ端役人に、
爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいものです。


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2006年4月14日(金)

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