第604回
中国起業の第二ステップ

北京で起業している日本人は、
現状、数えるぐらいしかいません。

彼らがやっている仕事は、
日本料理店の経営、
日本人向けカラオケスナックの経営、
日本料理店向けの食料品卸、
日本人向けの日本語雑誌の発行、
日系企業向けの日本人人材の紹介、などなど。

中国の人たちと全く関係ないか、
というともちろんそんなことはないのですが、
やはりどちらかというと、
北京に住む日本人をターゲットとした
ビジネスが多いように思います。

かく言う私も、現在の引越の仕事は、
北京に住む日本人が主なお客さんです。

日本人のお客さんは一部の例外を除いて、
おカネは約束通りきっちり払ってくれますし、
変な難癖をつけて値引きを迫ることもないですので、
資金力がない、吹けば飛ぶよな
駆け出し起業家にとっては、
非常にありがたいお客さんです。

ただ、会社を大きく発展させて行こう、と考えた場合、
日本人相手のビジネスだけでは限界があります。

外務省が発表した北京に住む日本人の数は、
昨年10月末の時点で約11,000人。
北京は大きな街ではありますが、
日本人マーケット、という点で見れば、
日本で言う「村」ぐらいの規模しかありません。

これに対し、北京市全体の人口は約1,500万人。
この内、日本人が提供する高付加価値の
モノやサービスを買えるであろう、
世帯年収が10万元(150万円)以上の
いわゆる「富裕層」は、北京市の全人口の
4%前後と言われていますので、
「富裕層」にターゲットを絞っても、
対象となるマーケットは約60万人。
日本で言えば「県庁所在地」ぐらいの規模です。

年収150万円以上の人が60万人もいれば、
日本人が提供する「値段は高いが、
質の良いモノやサービス」に
価値を認めてくれる人も
たくさんいるような気がしてきます。

日本人マーケットの60倍の規模を持つ、
北京の「富裕層」マーケット。

自分一人食っていければよい、ということであれば、
安全な日本人マーケットだけを
対象としていてもよいのですが、
中国起業の第二ステップとして、
事業を更に拡大するためには、
小さな日本人マーケットだけでなく、
より大きな中国人「富裕層」マーケットを
狙っていく必要があるのです。


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2006年9月1日(金)

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