第606回
中国語を話す香港人

先日、久しぶりに出張で香港に行ってきました。

今回、改めて驚いたのは、
今や香港ではどこに行っても、
ほとんどのところで中国語が通じる、
ということです。

以前の香港はイギリス領だった、ということもあり、
地元の言葉である広東語のほかに、
ホテルや高級レストランなどでは英語が通じましたが、
中国語を話せる人はほとんどいなかったように思います。

それが、1997年の香港返還以降、
中国との経済的なつながりが密接になったため、
香港では中国語を勉強する人が増えました。
そして、返還からわずか9年。
今では、地元の人が行くその辺のレストランでも、
ほぼ例外なく中国語が通じるようになっています。

香港では英語は高学歴の人しか話しませんので、
普及率という点でみれば、
中国語は既に英語をしのいで、
広東語に次ぐ第二言語の地位を、
占めているのではないでしょうか。

そして、香港では人民元を香港ドルに換えてくれる
マネーチェンジャーがあるのは当たり前、
今やマクドナルドでも「人民元歓迎」の札が貼られ、
両替せずに直接人民元で支払いが
できるようになっています。

人民元は未だ、外貨に兌換できる
ハードカレンシーではないのですが、
香港に行くと、人民元は既に国際通貨としての地位を
確立しているかのように見えます。

中国語は通じるし、人民元も使えるし、
おまけに、世界の高級ブランド品が
大陸よりずっと安く買える、となれば、
外国語が話せない大陸の「土地成金」や「石炭成金」が、
大挙して香港に旅行に行くのもうなずけます。

そして大陸の成金が、中国語が通じるところで散財し、
「中国語を話せると儲かる」ということがわかれば、
香港の人たちは更にがんばって
中国語を勉強するようになるのです。

こういう状況を見ると、
日本人が中学、高校、大学と
10年間にわたって英語を勉強しても、
一向にしゃべれるようにならないのは、
日本の英語教育に問題がある、というよりは、
英語をしゃべる必要に迫られていないから、
という理由の方が大きいように思います。

日本の学生をアメリカ中西部の荒野に、
一文無しで置き去りにして、
ヒッチハイクとアルバイトで食いつないで、
なんとか日本に帰って来させる、
なんていうサバイバル授業をすれば、
英語などすぐにマスターできるのではないでしょうか。
ま、無事に帰って来られればの話ですが...。


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2006年9月6日(水)

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