第686回
「収入」と「幸福度」は比例するのか?

先日、中国のベンチャー企業への投資を担当している
日本人駐在員の方とお話しをしたのですが、
「中国のベンチャー企業のオーナーは志が低い。
ある程度成功すると、もうそれ以上
会社を大きくしよう、という努力をしなくなる」
とおっしゃっていました。

このため、中国の個人企業の中から、将来的に上場による
巨額のキャピタルゲインを見込めるような会社を見つけるのは、
至難の業なのだそうです。

確かに、自分の会社を立ち上げて
年間数百万元(数千万円)の収入があれば、
中国ではかなりぜいたくな暮らしができますし、
会社を数千万元(数億円)で売却し、
そのお金を運用会社に任せて運用すれば、
一生遊んで暮らせます。

中国のベンチャー企業の
老板(らおばん、オーナー社長)のみなさんは、
何も、ベンチャーキャピタルからの投資を受け入れて、
ものすごいプレッシャーをかけられながら、
体を壊すぐらい働いた結果、
上場して数十億元(数百億円)の
キャピタルゲインを手にする、
なんてことをしなくても、
十分幸せな人生を送ることができる、
と考えているようです。

私個人的には、この中国人老板の考え方、
非常によく理解できます。
ほとんどの人の人生の目的は
幸せに暮らすことだと思いますが、
おカネはその手段に過ぎず、
おカネがあればあるほど幸せになる、
とは限らないからです。

日本でのある調査によれば、
年収1,500万円までは
「収入」と「幸福度」が比例するのですが、
年収がそれ以上になると、
逆に「幸福度」が下がったりするのだそうです。
中国人老板も収入が上がるにしたがって、
その辺に気付いてしまうのかもしれません。

私の知り合いの中国人老板の中には、
ベンチャーキャピタルの投資を受け入れ、
上場を目指してがんばっている人もいます。
しかし、大部分の老板は、
ある程度儲かると仕事を従業員に任せるか、
会社を売却するかして、
自分は人生を楽しむステージに入ってしまうのです。


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2007年3月12日(月)

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