第699回
ファミレスと化した「なだ万」

北京の国際貿易中心にある中国大飯店には、
高級料亭「なだ万」の北京店が入っています。

夜はかなりのお値段ですので、
プライベートではなかなか行きづらいのですが、
休日のお昼はランチセットが120元(1,800円)と
お手頃な値段ですので、
どうしてもおいしい日本料理が食べたいときには、
私も家族を連れて食べに行くことがあります。

「なだ万」のお客さんは
日本人ばかりと思われるかもしれませんが、
今では中国人のお客さんでいっぱいです。

一昔前まで北京の高級日本料理店は
「高いのに量が少ない」ということで
中国の人たちからは敬遠されていました。
行くとすれば、
中国料理に飽きたお客さんを
公費で接待するときに行って、
お腹いっぱい食べて頂くために
値段の高いものから
やみくもにたくさん注文する、
という場所でした。

しかし、今や「なだ万」にも、
自腹で日本料理を楽しむ中国の人たちが
たくさん来るようになりました。
こんなところからも、
北京にはお金持ちが増えていることが
よくわかります。

今、中国ではお金持ちが増えて、
人々の暮らしがどんどん良くなっています。
それはそれで非常に良いことなのですが、
その一方で「カネさえ払えば、何をやってもいい」
というような風潮が広がっていることも確かです。

先日も私は家族を連れて、
日曜日のお昼に「なだ万」に行ったのですが、
そこで目にしたのは、
小学生ぐらいの子供が
大声で叫びながらおにごっこをしている、
ファミリーレストランと化した「なだ万」の姿でした。

私も3人の娘を連れて行っていますので、
人のことは言えないのですが、
少なくともうちの娘たちには、
席に案内されたら帰るまで
おとなしく席に座っているようにしつけています。

しかし、その子供たちの親は、
子供がお客さんの席の間を走り回ろうが、
大声で叫ぼうが、
全く我関せずでおしゃべりに興じています。

いやしくもここは、
天下の高級料亭「なだ万」ですよ、
「なだ万」!

中国はついこの間まで社会主義国家でしたので、
今、金持ちになっている人は全員成金です。
極端な話、昨日まで畑を耕していた人が、
たまたま才覚があったり、人脈があったりした、
というだけで今日お金持ちになっているのです。
そんな成金に品格やお行儀の良さを
求める方が間違っています。

中国でもそろそろ、
「いくらお金を払って頂いても、
品のない方やお行儀の悪い方のご入店は
ご遠慮頂いております」という、
いわゆる「敷居の高いレストラン」ができても
良いころなのではないでしょうか。


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2007年4月11日(水)

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