第746回
中国製品の安全性に対する不安

最近、中国から輸出された練り歯磨きに
有毒物質が含まれていたり、
玩具から基準を超える鉛が検出されたりと
中国製品の安全性に対する不安が
世界中に広がっています。
その他にも、ペットフード、タイヤ、
スナック菓子、うなぎ、ドライフルーツなど、
問題製品は多岐にわたっています。

この事態を重く見た中国国家品質監督検験検疫総局が、
中国企業が生産する食品、日用品など
7,200品目にわたるサンプル検査を行ったところ、
安全基準を満たしていない製品が
2割近くにも上った、とのことです。

そんな騒ぎの最中に、私が住む北京市朝陽区で、
劇物のカセイソーダに浸したダンボールが
6割も入った「偽装肉まん」が売られている、
とのスクープ報道があり、
「一生肉まんを食べるのはよそう」
と心に誓ったのですが、
これは後から北京テレビの
「やらせ報道」であることが発覚しました。

「偽装肉まん」の方は
いかにもありそうな話ですので、
あまり驚かなかったのですが、
共産党中央の大本営発表のみを
報道していた中国のテレビ局が、
視聴率稼ぎのために「やらせ報道」をしたのには
本当に驚かされました。

日本でもつい最近、「やらせ番組」が
大きな社会問題となりましたが、
今の中国は、マネしなくていいところまで
どんどん日本に似てきているのです。

さて、中国製品の安全性については
日本でも大々的に報道されていますので、
日本にいる方と話していると、
「中国に住んでいて大丈夫ですか?」
とご心配を頂くのですが、
私はそれほど心配はしていません。

と言うのも、今回、品質が
問題視されている製品のほとんどは、
名前も聞いたことのない中小企業のものか、
大企業の名前を偽ったニセモノです。
華堂商場(ほあたんしゃんちゃん、
イトーヨーカドー)のような、
きちんとした正規の仕入れルートを持っている
大規模スーパーで買物をしている限りは、
そうした怪しい商品を掴まされる心配はありません。

製品の安全性がある程度確立している日本では、
小売業は中抜きの対象となり
苦境に立たされていますが、
中国の小売業はまだまだ、
「安全な製品を仕入れて消費者に提供する」という
「目利き」としての重要な役割を担っているのです。


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2007年7月30日(月)

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