第792回
バブルの主役は金持ちから一般庶民へ

「去年王さんが平米12,000元(192,000円)で買った
四環路沿いのマンション、
今は平米18,000元(288,000円)まで値上がりしてるらしいよ。
王さんの家は132平米だから
1年で80万元(1,280万円)儲かった計算になるね」

「張さんが半年前に5万元(80万円)分買った投資信託、
今や8万元(128万円)まで上がってるらしいよ。
なんにもしないで毎月5,000元(8万円)も儲かるなら、
仕事なんてバカバカしくてやってられないね」

...。
最近、中国人の友人と話すと、こんな話ばっかりです。

昨年までの中国の不動産や株は、
温州商人や山西省の石炭成金などの金持ちが、
あり余るカネの投資先に困って
やみくもに投資したため相場が急騰した、
という状態でした。

しかし、今年に入ってから主役は一般庶民に移り、
上記のような親戚や友達の儲け話を聞いた人が
自分も乗り遅れちゃいかん、とばかりに
先を争って投資を始めたため、
相場が更に上がりました。

中には「早く買わないと値段が上がってしまう!」
という強迫観念に駆られて、
自分の全財産をつぎ込むだけでなく、
親戚や友達から借金をしてまで
マンションや投資信託に投資する人もいるようです。

今や北京の人たちの頭の中には、
不動産価格や株価が「下がる」という事態は、
全く想定されていません。
このため、万一、不動産価格や株価が暴落した場合、
その時点で人生が破綻してしまう人が
大量に出てくることが予想されます。

中国政府は日本のバブル崩壊について、
かなり熱心に研究している、と聞きます。
国内の治安や体制の維持を考えた場合、
中国政府はこのバブル、
ゆっくりとしぼませていくことはあっても、
はじけさせることは絶対にできないのではないか、
と思います。


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2007年11月14日(水)

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