第823回
新「労働契約法」施行

中国では今年1月から、
新しい「労働契約法」が施行されました。

この新しい「労働契約法」の最大のポイントは、
有期限の雇用契約を2回締結すると、
3回目からは無期限の雇用契約を結ばなければならず、
事実上の終身雇用を保証しなければならないことです。

従来は、人を雇う際には1年ごとに更新される
有期限の雇用契約を結べばよかったため、
働きの悪い従業員を辞めさせたい場合、
次年度の雇用契約の更新をしなければ、
全くもめることなく実質的に解雇することができました。

今までの中国は社会主義国家であるにも関わらず、
従業員全員が日本で言う
「契約社員」のようなものだったわけですから、
人員の調整、入れ替えが非常に容易にできたのです。

しかし、今後、3回目以降の契約で
無期限の雇用契約を締結した従業員は、
日本で言う「正社員」と同じ扱いになりますので、
解雇したい場合でも「会社のカネに手をつけた」とか、
「会社の中で暴力を振るった」など、
かなり重大な過失がない限り、
辞めさせることはできなくなります。

これにより、中国に進出している
日本企業の雇用リスクは高まり、
今まで以上に労使関係に
神経を使わなければならなくなる、と言われています。

しかし、2年間の有期限契約期間中に、
その従業員の仕事の能力を見極められない、
ということはありえないことですし、
従業員が無期限雇用契約になったとたんに
全く働かなくなる、というのも考えにくいことです。

当社としては今回の新「労働契約法」の施行は
全く問題視していません。
従業員を重要なステークホルダーとして捉え、
まともな経営をしている会社ならば、
この新法は特に恐れるような内容ではないからです。

今回の新「労働契約法」の施行で困っているのは、
生産量の増減に合わせて
従業員のクビを切ろうとしている会社や、
生産コストを低く抑えるために、
給料が高くなった従業員のクビを切って、
給料の安い新入社員を
大量に雇い入れようとしている会社など、
へたくそな経営のつけを従業員に押し付けているような
会社なのではないでしょうか。


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2008年1月23日(水)

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