第825回
恐妻民主主義国家・中国

私が中国に住んでいていつも意外に思うのは、
中国共産党が中国人民の支持を失うことを
思いのほか恐れていることです。

日本に住んでいた時には、
中国共産党は独裁政党として強大な権力を振りかざして
中国人民を抑圧しているように見えたのですが、
実際は、中国共産党は人民の機嫌を損ねないように
かなり気を使っています。

2005年の反日デモの時に、
中国政府が荒れ狂うデモ隊を黙認したのは、
へたに鎮圧して民衆が「中国政府は中国人民より
日本の味方をするのか」などと言って、
矛先を中国政府に変えてきたら大変ですし、
日中関係などより一般民衆の反感を買わないことの方が
ずっと重要だったからです。

また、汚職を行った共産党幹部をどんどん死刑にしているのも、
中国共産党の自浄能力をアピールするとともに、
人民に「身内に甘い」というイメージを
持たれないようにするためであると思われます。

今年から労働節という共産党的な祝日を削って、
清明節、端午節、中秋節など
中国に昔から伝わる祝日を法定休日にしたのも、
「中国=中国共産党」という図式を定着させる
意図があると言われています。

中国は共産党による一党独裁国家ではありますが、
こうした状況を見ると、
「奥さんの機嫌を損ねることを極端に怖れる旦那が、
奥さんの顔色を見ながら行動する」という
「恐妻民主主義」のような状態に
なっているように思います。

恐妻民主主義国家・中国は、アメリカや日本なんかよりも、
家の中にいる人民という奥さんの方がずっと怖いわけですから、
外交姿勢が超強気になるのも仕方のないところです。
変にアメリカや日本と仲良くして、
奥さんから「弱腰!」と叱られることの方がイヤなのです。

逆に言えば、これは中国政府の弱みでもあります。
現在、日本と中国の間には、東シナ海ガス田問題、
尖閣諸島問題、教科書問題など、様々な問題がありますが、
解決のポイントは「中国政府が人民を納得させて、
一党独裁体制を維持できるかどうか」にあります。
日本政府はこれらの問題の交渉に当たって、
中国政府が家で待つ怖い奥さんにいい顔をできる
お土産を持たせてやれば、
意外と大きな譲歩を引き出すことも
可能なのではないでしょうか。


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2008年1月28日(月)

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