第867回
「チャイナフリー」で困るのは誰?

発生当時、あれだけ大騒ぎになった
「中国産毒入りギョーザ事件」ですが、
日中双方が自国での混入の可能性はない、と主張したため、
事件は迷宮入りの様相を呈してきており、
最近では日本のニュースでも
ほとんど報道されなくなってしまいました。

事件発生当初、私は、
真相がどうであれ中国政府が誰かを捕まえて
「こいつが毒を入れました。
こういう悪いヤツは死刑にしときます。
他の中国産の食品は安全ですのでご安心ください」
という手仕舞い方をすると予想していたのですが、
その予想は見事にはずれてしまいました。

よく考えてみれば、
中国にとって日本向けの食品輸出など
なくなってもどうということはないですし、
中国はただでさえ輸出増加を原因とする
インフレに苦しんでいますので、
輸出が減るのはかえってありがたいぐらいのことです。

今の中国は日本に対して
「安全ですからぜひ食べてください」と媚びる理由は全くなく、
「イヤなら食うな!」と逆ギレできる立場にあるのです。

これに対して、日本は今回の毒入りギョーザ事件で、
毎日食べている食品の中国依存度が非常に高いことを、
改めて思い知りました。

中国依存度が50%を超えている食品は、
ピーナツ、ニンニク、まつたけ、そば、
はまぐり、わかめ、ふぐ、などなど。
単品で見ていくと別にしばらく食べなくても
我慢のできそうなものばかりですが、
加工品や値段の安い学校給食、社員食堂などは、
中国産の食品を一切使わない、
いわゆる「チャイナフリー」では成り立たないのだそうです。

どちらかというと、
「チャイナフリー」で困るのは日本の方なのです。

それでも安全には代えられない、ということで、
日本の食品業界では、
食品の供給元を中国以外の国に変えたり、
日本産のものに切り替えたり、
ということが行われているようですが、
これによるコストの上昇は避けられません。

安全な食品を食べるためのコストが上がるならば、
日本人は今後、今までよりさらに付加価値の高い仕事をして、
もっとたくさんのおカネを稼がなければなりません。

毎日安全な食品を食べて長生きしたかったら、
付加価値の低い仕事をしていてはいけないのです。


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2008年5月5日(月)

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