第953回
カネは中国で稼いで日本で使え!

同じMade in Chinaでも、
デザインや品質が良くて値段が安いモノは
日本に輸出され、
デザインや品質が悪くて値段が高いモノは
中国国内で販売される。

なぜこんなことが起きるのかというと、
それは日本の市場は既に成熟し
競争が極限まで激しくなっているのに対し、
中国の市場はまだまだ未成熟で、
日本ほど競争が激しくないためです。

以前お話ししたように、
私が北京で4000元(6万円)で買った
ネスプレッソのエスプレッソマシーンと同じモノが、
東京では半額の3万円で売られています。

東京でエスプレッソマシーンを買おうとしたら、
いくらでも選択肢がありますので、
ネスプレッソもそんなに高い値段は付けられませんが、
北京ではほとんど選択肢がありませんので、
エスプレッソマシーンがどうしても欲しい人は
東京の倍の値段でも買わざるを得ないのです。

この競争が極限まで激しくなっている日本という国は、
モノを買う人にとっては天国ですが、
逆にモノを売るために働いている人にとっては地獄です。
日本は「買えば天国、働きゃ地獄」の国なのです。

この終わりのない競争、
こぎ続けることを止めれば
すぐに競争に敗れて倒れてしまう自転車操業状態が、
日本の社会に何とも形容しがたい
閉塞感や無力感をもたらしているように思います。

一方の中国は「働きゃ天国、買ったら地獄」の国です。
市場がまだまだ日本ほど成熟していませんので、
新しいモノやサービスを売り出したり、
新しい市場を開拓したりという
楽しい仕事をするチャンスがたくさんあります。

しかし、一旦仕事を離れて消費者の立場になると
日本のように便利で快適なモノやサービスは
まだ出揃っていませんし、
デザインや品質が悪くて値段が高いモノを
買わざるを得ないこともあります。

「買えば天国、働きゃ地獄」の日本と
「働きゃ天国、買ったら地獄」の中国。

この両国のギャップを最大限に生かすためには、
中国で楽しい仕事をしながら稼ぐだけ稼いだら、
稼いだおカネを日本に持って行って消費し、
人生を「働きゃ天国、買っても天国」にするというのが、
最も合理的な選択なのかもしれません。


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2008年11月21日(金)

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