第955回
「OLにっぽん」が問いかける日本人正社員の価値

今、日本では日本テレビ系列で毎週水曜日夜10時から
「OLにっぽん」というドラマをやっているそうです。

北京では日本の地上波のテレビを見ることはできませんので、
私はこのドラマを見たことがないのですが、
聞いた話によると舞台となる日本の東慶商事という会社が、
自社の総務課の仕事を中国にアウトソーシングすることを
決定するところからこのドラマは始まるのだそうです。

東慶商事の総務課に送り込まれた
アウトソース先の優秀な中国人研修生と、
自分の仕事を取られてしまうことに
動揺を隠し切れない総務課の日本人正社員の
心の葛藤が見どころの一つであるようです。

この設定、私が1年ちょっと前に
「第780回 中国人に仕事を奪われる日本のホワイトカラー」
でお話しした内容そのままです。

その後、中国では人件費の上昇が続いていますが、
それでも当社の日本語を話せる
大卒社員の初任給は4,500元(65,000円)、
引越スタッフに至っては800元(11,500円)ですので、
彼らが日本人と同等の仕事をできるとしたら、
やはり仕事を中国にアウトソースした方が
まだまだずっとコストが安いのです。

このドラマの脚本を書いたのは、
昨年「ハケンの品格」で派遣社員と正社員の戦いを描いて
大ヒットを飛ばした中園ミホさん。
今回はハケンを飛び越して
中国へのアウトソーシングへと飛躍していますが、
中園さんの時代の最先端の動きをキャッチするアンテナは
非常に感度が良いと思います。

日本企業の正社員は今まで、同じ仕事をしても
ハケンやパート・アルバイトの人たちよりも
高い給料をもらうことができていました。
高度経済成長で日本企業に余裕があった時代は
それでもよかったのですが、
日本経済の成長が止まり競争が激化してくると、
ハケンやパート・アルバイトの人たちや、
それよりも更にコストが安い中国の人たちでも
できる仕事をしている正社員に、
高い給料を払う余裕はなくなってきました。

コストの安い人たちに仕事を取られたくなかったら、
日本企業の正社員は彼らの数倍の付加価値を生む仕事をするか、
正社員にしかできない仕事をするしかないのです。


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2008年11月26日(水)

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