第973回
やってみなけりゃわからない

私の会社は今でこそ「物流有限公司」を名乗り、
引越や倉庫の仕事をしていますが、
正直に言うと7年前に起業した時には
こんな展開になるとは夢にも思いませんでした。

7年前に起業した時には当社は、
中国に事務所のない日本企業に商社の北京事務所と
同レベルのサービスを安価で提供する
駐在員事務所代行サービスの会社として設立されました。

元々私は丸紅在籍中の12年間、
石炭一筋で仕事をしてきましたが、
一契約数十億円の世界に「柳田商店」が
割り込んでいけるとは思えませんでしたので、
石炭業界で起業することは考えていませんでした。
私から石炭を取ったら後に残るのは
中国語が話せることと
5年間の中国での仕事の経験だけでしたので、
その時点で私にできそうなビジネスと言えば、
駐在員事務所代行サービスぐらいしか
思い付かなかったのです。

しかし、その後ヤマト運輸さんと契約をしたことによって
引越の仕事を始め、物流の世界に足を踏み入れてみると、
引越の仕事は非常に奥が深いことがわかりましたし、
中国の物流業界にはまだまだたくさんの
ビジネスチャンスが残されていることもわかりました。

やはり、外から見て想像しているだけではわかりませんが、
実際にその仕事をやってみることによって
初めてわかることもありますし、
新たなビジネスチャンスが見えてくることもあるんですね。

そんな経験をしましたので、起業の体験談などで、
高い志を持って、綿密な事業計画書を作って起業して、
その計画書通りにビジネスがうまくいった人の話などを聞くと、
すごいなぁと思う反面、
「ホントかいな?」とちょっと疑ってみたくもなります。

その点、中国人起業家は高い志と思い入れを持って
1つの事業をやり続ける人よりも、
儲かりそうな商売があったらとりあえず始め、
ダメだと思ったらすぐに止めて
他のもっと儲かりそうな商売に鞍替えするような人が
多いように思います。

もちろん起業をするに当たっては
慎重に計画を練る必要があります。
しかし、商売はやってみなければわからないこともありますし、
やってみて初めて見える
新たなビジネスチャンスもあるかもしれません。

そういった意味では、起業に当たって
慎重になりすぎるきらいがある私たち日本人が、
腰が軽く節操のない中国人起業家から
学ぶべき点もあるのかもしれません。


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2009年1月5日(月)

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