第975回
「家電を農村へ」制度

世界的な金融危機の影響で
景気の減速が顕在化しつつある中国。

中国政府は景気の減速による国内情勢の不安定化を防ぐため、
財政面、金融面、税制面で様々な対策を打ち出していますが、
その中でも非常にユニークなのが
「農村家電普及(のんつんじゃーでぃえんぷーじー)」、
日本語で言えば「家電を農村へ」制度の全国への展開です。

「家電を農村へ」制度は、
元々は家電を農村に普及させるために
2007年12月に山東省、河南省、四川省、青島市の
4省市で試験的に始められた制度です。

対象となる家電は、
カラーテレビ、携帯電話、冷蔵庫、洗濯機の4つで、
農村の人たちがこれらの製品を買うと
販売額の13%が政府から補助されます。
対象製品は予め入札で決まっており、
カラーテレビは2000元(26000円)、
携帯電話は1000元(13000円)、
冷蔵庫は2500元(32500円)、
洗濯機は2000元(26000円)を
超えない製品に設定されています。

1950年代後半、日本では
白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機が
家電製品の「三種の神器」として喧伝されましたが、
今の中国の農村では、
カラーテレビ、携帯電話、冷蔵庫、洗濯機が
三種ならぬ「四種の神器」なんですね。

中国政府は今回この制度を
景気下支えのための消費拡大策の1つに加え、
今年2月1日からは対象を全国に広げます。

この制度が全国的に行われれば、
今後4年間で農村での家電販売額は
年平均1500億元(2兆円)を超え、
農村の小売総額の伸び率を
2.5%引き上げることが見込まれるのだそうです。
また、輸出不振で過剰生産となっている
中国製家電の在庫を消化するのにも
一役買うことになるのだそうです。

元々の中国政府の計画では、
農村の主要家電普及率を20年近くかけて
都市の2000年の水準まで引き上げる予定でしたが、
今回の全国展開でこの計画も
10年前倒しして達成できる見込みです。

農村の生活も近代化され、景気の下支えにもなる。
転んでもタダでは起きない中国政府らしい、
一石二鳥のすばらしい政策であると私は思います。


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2009年1月9日(金)

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