第991回
「常連さん」と「一見さん」のギャップ

日本でもその他の国でも「常連さん」と「一見さん」では、
店側が提供するサービスにある程度の差が表れるものですが、
中国の場合、そのギャップが非常に大きいです。

これは私が著書
「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)でもお話しした
「自己人・外人の法則」の応用編です。
レストランのウエイトレスにとって、
「一見さん」は「外人(わいれん、他人)」ですので
親切にしてあげる必要性は全くありません。
しかし、「常連さん」は
「自己人(つーちーれん、身内)」の
末席ぐらいに入ってきますので、
「外人」への冷たい態度とは全く違う、
まるで家族に対するような
心からのサービスをしてくれるのです。

店に入ると「回来了(ほいらいら、おかえりなさい)」
と迎えられ、何も言わなくても窓際の良い席に座らせてくれる。
注文をすると「その料理はまずいからやめなさい」とか、
「頼み過ぎだから一品減らしなさい」などと、
店のオーナーが聞いたら怒り出すような
アドバイスをしてくれる。
食事をしている時も「お皿を新しいのに替えますね」とか、
「お茶が冷えちゃいましたね。今熱いのを持ってきますから
ちょっと待っててくださいね」などと
何かと世話を焼いてくれる、などなど。

それらはマニュアルに書いてあるわけではありません。
ウエイトレスさんが
「この人においしい料理を楽しく食べてもらいたい」
という気持ちから自分の判断で行っている心からのサービスです。

最低のサービスで世界的にも
評判が悪い中国のレストランですが、
5日連続で同じレストランに通って「常連さん」になれば、
サービス業の最高峰と言われる
リッツ・カールトンが実践しているような
最高のサービスを受けることができるのです。

私たち外国人にとって、みなさんから
「外人」と思われているうちは
中国ほど不愉快な国はないですが、
一度「自己人」と認めてもらえれば
これほど快適に楽しく暮らせる国は
ないのではないでしょうか。


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2009年2月16日(月)

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