第1007回
人類存亡のカギを握る中国

先日、イギリスの経済紙・フィナンシャル・タイムズが
中国の温家宝首相にインタビューをした記事を読んでいたところ、
温家宝首相は「国内問題を適切に解決することが、
人類に対する最大の貢献になる」と語っていました。

日本にいるみなさんはこの発言を聞いて
「また中国の国際貢献しないための言い訳だよ」
と思われるかもしれませんが、
私は温家宝首相の発言は
まさに正鵠を射ていると思いました。
私は人類存亡のカギは中国が握っている、
と本気で思っています。

例えば食糧問題1つとってもそうです。
世界の国々は中国が95%の高い食糧自給率を維持し、
これを今後も下げないように努力しようとしていることに
心から感謝すべきだと思います。

邱さんもおっしゃられているように、
日本は食糧自給率が40%まで落ちても、
7000万人分の食糧をアメリカ、オーストラリア、ブラジルなどの
農産品輸出国から輸入すれば何とかなりますが、
日本の10倍の人口を擁する中国の食料自給率が40%まで落ちて、
7億人分の食糧が足りなくなれば、
誰もそれを補うことはできません。

そうなれば中国は豊富な外貨準備を使って
世界中の食糧を買い占めに走り食糧価格は急騰、
世界中で激烈な食糧争奪戦が始まり、
値段の高い食糧を買えない貧乏国で
数億人単位の餓死者が出る可能性もあります。

人類の未来を考えた場合、
中国は日本のようにへらへらと笑いながら
「食糧自給率が40%まで落ちちゃいました。どうしましょう」
などとのんきに言える立場ではないのです。

しかし、先日お話したように、
中国では今後急速に少子高齢化が進んでいきますので、
国内産業の高付加価値化は急務です。
国内産業が高付加価値化すれば、
農民は工員に、工員は服務員になっていきますので、
中国の農民の数はどんどん減っていくことが予想されます。

農民が減っても
食糧生産量を落とさないようにするためには、
農業の大規模化、効率化を行い、
農民1人当たりの生産量を増やす必要があります。
そのためには、今後、中国では、
農業を営む大企業が先進的なバイオ技術を駆使して、
機械化された大規模農場を経営する必要が
出てくるのではないかと思います。

こうした中国の国内施策の1つ1つが
人類に対する貢献であり、
人類滅亡を避けるための真剣勝負である、
ということを、世界の人々は
もっと認識する必要があるのではないか、
と私は思います。


←前回記事へ

2009年3月25日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ