第1021回
1億人が登録するインターネットオークションサイト

私が中国に来て驚いたのは、
中国の人たちが電化製品などを買うときに、
新品でも箱から出して動作確認をした上で
買っていたことです。

日本では新品の電化製品が
最初から壊れているなどということはまずあり得ませんし、
万一、家に持って帰ってから壊れていたのがわかっても、
必ず交換または修理をしてくれますので、
お店で買うときに動作確認などしません。

しかし、中国では買った電化製品を、
お店で動作確認せずに家に持って帰って、
万一、壊れているのがわかってお店に持っていっても
「あんたが壊したんでしょ」
と言われて取り合ってもらえませんので、
みなさん時間をかけて店頭で動作確認をするのです。

中国はこんな不信社会ですので、
中国でインターネットショッピングや
インターネットオークションが始まった時には
私は内心「トラブルが多発して、
すぐにビジネスモデル自体が成り立たなくなるな」
と思っていました。

しかし、そんな私の予想は見事にはずれ、
中国では都市部を中心にネットショッピングが普及、
2008年のインターネットショッピングと
インターネットオークションの総売上高は
前年比2.2倍の1200億元(1兆7400億円)に上りました。

その中でも電子商取引最大手・アリババグループ傘下の
インターネットオークションサイト
「淘宝網(たおばおわん)」の売上は
1000億元(1兆4500億円)と全体の8割以上を占め、
登録者数は9800万人と
1億人を超えるのも時間の問題となっています。

企業が新品の商品を売る
インターネットショッピングならばまだしも、
素人の個人が中古品を出品する
インターネットオークションはリスクが大きく、
商品が送られてきたら
「写真で見るよりボロボロだった」とか、
「写真で見えないところにキズがあった」とか、
そういったトラブルが無数に発生するように思えるのですが、
「淘宝網」では出品者を
過去の購買者の評価から格付けしたりして、
そうしたトラブルを避けているようです。

「淘宝網」を始めとするアリババグループの偉いところは、
「トラブルが多発しそうだから、ネットショッピングはダメだ」
と考えるのではなくて、
「ネットショッピングをやるにあたって、
トラブルの発生を防ぐにはどうしたらいいのか」
という順番で考えて、出品者の格付けや、
不払いの問題を解決する決済サービス
「支付宝(じーふーばお、アリペイ)」などの
解決策を編み出しているところです。

このポジティブな発想、見習わなければいけませんな。


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2009年4月27日(月)

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